I 概要
(1)内政:トラック労組代表のモジャーノ労働総同盟(CGT)書記長は,アルゼンチン物流企業連合との賃上げ交渉の決裂を受け,同労組のエネルギー運輸部門の全国ストライキを実施,その結果,約2日間にわたって国内18州の石油精製所が封鎖され,各地でガソリンやガスの供給が麻痺した。また,同書記長はブエノスアイレス市の5月広場において,所得税の課税最低限の引き上げ及び家族手当の給付拡大等を求める反政府デモを主催した。他方,亜国最大規模の産油量を誇るセロ・ドラゴン油田(チュブット州)が,建設業労組UOCRAの離反者で構成される約400人の労働者によって占拠され,生産設備等が破壊された。国家社会保障機構(ANSES)は,住宅向け新規融資プラン及び年金受給者向け新規融資プランを発表した。
(2)外交:フェルナンデス大統領は,国連非植民地化特別委員会に出席するため米国を訪問し,フォークランド(マルビナス)諸島領有権問題について演説を行ったほか,G20ロスカボス・サミットに出席するためにメキシコを訪問,その後,リオ+20に出席するためにブラジルを訪問した。また,同大統領は外交関係樹立40周年を記念して訪亜した中国の温家宝首相と会談を行い,メルコスールとのビデオカンファレンスを主催した。その他,亜メンドーサにおいてメルコスール首脳会合及び南米諸国連合(UNASUR)臨時首脳会合が開催され,パラグアイの両組織への参加権停止が決定されるとともに,ベネズエラのメルコスールへの正式加盟が決定された。
TT 内政
1 YPF社の新体制発足
4日,シェラトン・ホテルにおいて,新生YPF社の経営戦略プランの発表会が行われ,フェルナンデス大統領,ガルッチオYPF社CEO,デビード公共事業大臣及びキシロフ経済政策長官らが出席した。同プランによると,同社は2017年までに,現在比で36%の石油及び天然ガスの増産(注:目標石油生産量は2017年時点で約2億1千万バレル)を見込んでおり,今後5年間で385億ドルを投資する予定。ガルッチオCEOは新戦略を「野心的かつ現実的」とした上で,亜国におけるここ数年の炭化水素燃料の生産量の落ち込みを回復するべく,老朽化した油田の若返り及び非在来型の石油資源の開発を目指し,亜国をエネルギー分野におけるリーダー国に変えたい旨述べた。また,同CEOはシェールガス等の採掘に必要な技術開発においては,外資の参入が不可欠との見方を明らかにしたものの,具体的な外資石油会社の名前は挙げなかった。同発表会においてはYPF社の新経営陣も発表され,国側の最高責任者としてキシロフ経済政策長官が同社の理事に就任した。
2 トラック労組のエネルギー運輸部門による全国ストライキ
(1)19日,トラック労組代表のモジャーノ労働総同盟(CGT)書記長は,アルゼンチン物流企業連合が30%の賃上げに応じなかったとして,ガソリン,軽油,天然ガス等のエネルギー運輸部門で72時間のストライキを実施する旨発表した(注:同賃上げ交渉は,14日と18日に労使間で話合いの場がもたれ,アルゼンチン物流企業連合側は18%,21%と徐々に賃上げ率を引き上げていったが,労組側は30%の賃上げを主張し続けた)。同日,労使交渉の決裂を受けて,労働・雇用・社会保険省がトラック労組とアルゼンチン物流企業連合に対して「和解命令」を発出し,事態の沈静化に乗り出したが,トラック労組はこれに応じなかった。
(2)20日,トラック労組のエネルギー輸送部門が全国でストライキを開始し,国内18州の石油精製所が封鎖され,各地でガソリンやガスの供給が麻痺した。特に影響が大きかったのはブエノスアイレス市及びブエノスアイレス州であり,同市内のガソリンスタンドの前には長蛇の列ができ,販売制限を行ったスタンドや燃料が売り切れになったスタンドが出た。また,同州の複数の地域では,20日の朝からガスの供給が停止し,住民の生活に影響が出た。
(3)同日午後,ランダッソ内務・運輸大臣は,同ストライキの対応に当たるため,フェルナンデス大統領がブラジルでの公務をキャンセルして急遽帰国する旨発表した。また,帰国の途にある大統領の命令で緊急会合を開いた治安省のベルニ治安活動長官及びマリオット・ブエノスアイレス州副知事等は,トラック労組側が封鎖した同州マタンサ市のYPF社の石油精製所に国境警備隊を送り込み,石油及びガスの緊急供給を行う旨発表した。この結果,同日夜,同精製所で国境警備隊とトラック労組が衝突する事態が発生した。当地報道によると,燃料を搭載した複数のトラックが,国境警備隊の運転によりマタンサ市の同精製所裏口から出発し,ブエノスアイレス州の各地に向けて緊急輸送を行った。
(4)20日夜,国境警備隊との衝突を受けて,マタンサ市のYPF社石油精製所で記者会見を行ったモジャーノ書記長は,エネルギー運輸部門のみならず,トラック労組の全部門が21日からスト入りする旨発表した。他方,20日夜,ランダッソ内務・運輸大臣は,フェルナンデス大統領の命を受けて,同書記長,及びパブロ・モジャーノ・トラック労組副代表(注:モジャーノ書記長の子息)を,非合法ストをもって公的機関への脅迫を行った罪で告訴する手続きに入った旨発表した。
(5)21日,労働・雇用・社会保険省のトマーダ大臣は,同省が出した「和解命令」に従わなかったとして,トラック労組に対して,400万ペソの罰金を科す決定をした旨発表した。
(6)21日午後,モラレス・アルゼンチン物流企業連合代表は,トラック労組との交渉の結果,25.5%の賃上げで妥結した旨,記者会見で発表した。これを受けて,モジャーノ書記長は,エネルギー運輸部門のストライキの解除を決定,記者会見を開き,同ストの責任は全て自分にあり,他の誰にも無い旨述べた(注:息子であるパブロ・モジャーノ副代表には責任がないことを強調)。また27日に,所得税の課税最低限の引き上げ及び家族手当の給付拡大等を訴えるべく,大統領府に隣接する5月広場においてデモを実施する旨発表し,他分野の労組にも参加を呼びかけた。
(7)26日,フェルナンデス大統領は,年金受給者向け新規融資プランの発表式典での演説において,ブラジルから帰国後,自分(フェルナンデス大統領)が目にしている光景(注:トラック労組等のストライキを指す)は,900万以上の雇用を新たに生み出した今の亜国が,既に乗り越えたものだと思っていたと述べるとともに,仕事を持ち,高収入を得ている一部の人々が,暴力に訴え出ているこの状況は,とても正当化できるものではないと発言した。さらに同大統領は,モジャーノ書記長等が引き上げを求めている所得税の課税最低限に関して,同税は,高い収入に対して課税される類のものであり,世界中どこにでも存在すると述べた。また同大統領は,亜国において所得税を支払っているのは,900万人の正規労働者のうちの15万9千人,すなわち19%であり,81%の正規労働者は所得税の課税対象ではない等発言した。
3 モジャーノ労働総同盟書記長による5月広場におけるデモ
(1)27日,ブエノスアイレス市の5月広場において,モジャーノ労働総同盟(CGT)書記長主催による,所得税の課税最低限の引き上げ及び家族手当の給付拡大等を求めるデモが行われた。当地報道によると,今次デモの参加者は,当初の12万人の予想を下回る5万人程度(諸説あり)にとどまり,参加した労組はモジャーノ書記長率いるトラック労組,及びベネガス代表率いる農業関係労組(UATRE),極左セクター(MST)や反政府系失業者団体(CCC,Barrios
de Pie)等に限られたとのこと。他のモジャーノ派労組の参加は限定的で,同書記長が期待していた結束力は見られなかった。また,ミチェリ書記長率いる亜労働者連盟(CTA)は,当初,同デモに参加する旨述べていたが,直前になって立場を改めた。他方,同デモは,ブエノスアイレス市内の高級住宅街で5月の末から断続的に続いているカセロラッソ(鍋たたき抗議活動)の参加者や,政府の両替規制に不満をもつ中産階級に対しても呼びかけられたが,これら非労組系の人々の参加は殆ど見られなかった。デモの規模が縮小した原因としては,政府との事前の駆け引きの過程でモジャーノ派労組が割れたことが挙げられ,モジャーノ書記長の意図に反して,亜運輸労働者連盟(CATT)のシュミッド代表等,一部のモジャーノ派労組代表が,所得税の課税最低限を政府が引き上げる姿勢を見せるならば,デモを取り止める旨発言したことが一因となった旨報じられた。今次デモでは,事前にフェルナンデス大統領が警察官や国境警備隊員を,同広場に隣接する大統領府の警備以外には配備しない旨通告していたところ,死者やけが人等は出なかった旨報じられた。
(2)右デモ当日,フェルナンデス大統領はサン・ルイス州で養豚場の開所式に出席し,同会場にて講演を行ったが,モジャーノ書記長及び同デモについての直接的言及はなされなかった。一方,翌28日,ブドゥー副大統領は今次デモについて,モジャーノ書記長らは社会不安を引き起こし,亜国民を人質にとろうとしたと批判した。また,同副大統領は,今回のデモの結果が示す通り,モジャーノ書記長が率いるグループは少数派に過ぎず,労働者の大半は政府の政策に賛同している旨発言した。
4 労働総同盟(CGT)役員選挙
5日,CGTのモジャーノ書記長に反対する労組代表のグループは,労働・雇用・社会保険省に対し,本年4月24日にモジャーノ書記長らが召集した役員会において決定されたCGT役員選挙の告示(7月12日投開票)を無効とするよう請願書を提出した。同グループによると,右告示を決定した役員会には,役員資格のない6名が参加しており,不正に定足数を満たした上で,賛成多数により同告示を可決した由。
5 チュブット州のセロ・ドラゴン油田におけるストライキ
21日,亜国内で最大規模の産油量を誇るセロ・ドラゴン油田(チュブット州)が,建設業労組UOCRAの離反者で構成される約400人の労働者(「ロス・ドラゴネス」を自称)によって占拠された。同油田は英石油大手のBP社の傘下にあるパン・アメリカン・エナジー社が開発しており,「ロス・ドラゴネス」は,契約社員40名の解雇の取り消し及び23%の賃上げ等を理由に生産設備の破壊を行う等のストライキを実施した。パン・アメリカン・エナジー社は同スト発生により,約2週間にわたってセロ・ドラゴン油田における石油生産の全面的停止に追い込まれた。
6 TBA社シリグリアーノ理事らの逮捕
(1)4日,ボナディオ連邦裁判所判事は,2月22日のサルミエント線オンセ駅における駅端への衝突事故(注:51人が死亡,700人以上が重軽傷を負った)の捜査を妨害した容疑で,同線を運行していたブエノスアイレス鉄道会社(TBA社)の経営陣を逮捕した。逮捕されたのは,TBA社の筆頭株主であるコメトランス社のシリグリアーノ代表,フェラーリTBA社社長,及び同社役員のルビオ理事とテンポーネ理事の計4名。当地メディアでは,4人がTBA社の車両整備に関する会計書類等を隠蔽した疑いがもたれている旨報じられた。また捜査当局は,同社が2007年から受け取っていた政府の補助金の使途に関しても調べを進めている旨発表した。
(2)5日,スキアビ前運輸長官が連邦裁判所に証人として出廷し,事故の原因がマルコス・コルドバ運転手の過失にある旨,文書にて証言するとともに,安全対策や車両の整備等は運輸長官の職責の範囲でなく,公共事業省の管轄下にある交通調整国家委員会(CNRT)の責任である旨文書で述べた。
(3)6日,シリグリアーノ・コメトランス社代表は連邦裁判所に出廷し,同事故の責任を否定した上で,コルドバ運転手の人為的なミスによって衝突が引き起こされた旨証言した。
(4)7日,コルドバ運転手は連邦裁判所に出廷し,車両のブレーキが作動しなかったために事故につながったこと,及び運転中は常に意識があったこと等を証言し,最高裁の法医学チームに指摘されたてんかんの疑いを否定した。また,同運転手は事故車両で当日起きたブレーキの不具合を,車内機器を使用して実際に説明し,TBA社の経営陣やスキアビ前運輸長官の証言に反論した。
(5)事故の発生からちょうど4ヶ月にあたる22日,遺族らが被害者の顔写真付きのメモリアル壁画をサルミエント線オンセ駅の1番ホームに設置した。同日,TBA社のシリグリアーノ被告は,保釈金500万ペソを支払い,釈放された。
7 省庁再編
(1)6日,フェルナンデス大統領は,連邦企画・公共投資・サービス省(以下,公共事業省)に属する運輸庁を内務省に移し,内務省を内務・運輸省(Ministerio
de Interior y Transporte)と改名することを発表した。ランダッソ内務大臣は内務・運輸大臣として,及びラモス運輸長官は現職に留任した。同大統領は,今次再編を決定した理由として,YPF社の国有化に伴い,同件を管轄する公共事業省が,従来とは異なる業務に専念しなくてはならなくなったためであると述べた。また同大統領は,内務・運輸省の初めの業務として,国とブエノスアイレス州,及びブエノスアイレス市の三主体による,首都圏の公共交通機関の整備及び向上を担う新たな組織の創設を挙げ,同省は公共交通機関に対する政府の補助金の見直しも担うことになる旨発言した。
(2)8日,大統領府にて,ランダッソ内務・運輸大臣,シオリ・ブエノスアイレス州知事及びマクリ・ブエノスアイレス市長が会合を行い,鉄道,地下鉄,及びバス等の首都圏の公共交通機関網の整備について話し合った。9日,ランダッソ同大臣は,首都圏の公共交通機関に関する5ヶ年計画を作成するための新たな機関として,首都圏交通機構(Agencia
de Transporte Metropolitano)の設置が決定された旨発表した。
8 ANSESの住宅向け新規融資プラン
12日,フェルナンデス大統領は大統領府,国家社会保障機構(ANSES)及び不動産銀行による合同プロジェクトとして,「建国200周年住宅向け新規融資プラン」を発表した。同プランは,今後4年間に合計300億ペソ以上の住宅向け融資を実施する旨定めたもの。18〜65歳の全亜国民が融資の対象であるとし,最低年収などの審査はない。ANSESによると,一世帯あたり最大で35万ペソの融資が受けられ,世帯収入に応じて返済期間は20〜30年,金利は年率2〜14%と設定された。
9 ANSESの年金受給者向け新規融資プラン
26日,フェルナンデス大統領は,国家社会保障機構(ANSES)による年金受給者のための新たな融資制度について発表した。同制度によると,政府は「アルヘンタ」という年金受給者向けの買い物専用カードを新設し,1回の融資限度額を1万ペソと定め,最大で40回までの分割返済(ペソ通貨のみ使用可)を認める(注:返済金利は分割回数に応じて異なる)。買い物の際に同カードを提示すると,スーパーマーケットや薬局,家電量販店などでは,一部商品が最大で20%の割引になる。また同融資プランには,年金受給者によるアルゼンチン航空の航空券購入に際する分割支払い等の優遇制度も含まれる。
10 資本財に対する関税の引き上げ
6日,フェルナンデス大統領は国内の産業を保護し,財政収支の均衡を図る目的で,7月1日以降,資本財に対する関税を,国内で生産される資本財の場合には0%から14%に引き上げ,国内で生産されない資本財の場合には2%に設定すると発表した。また同大統領は,同様の目的で資本財生産に対する優遇税制を2012年12月31日まで延長する旨決定するとともに,企業側に対して,雇用・投資の維持,及び価格の安定を求め,経営側の然るべき努力を国民に監視させる目的で,優遇税制の対象となっている企業名一覧を産業省のホームページで公開する措置をとる旨述べた。当約束を履行しない企業は,同優遇措置の対象から外れるということも重ねて述べた。さらにフェルナンデス大統領は,右改革は,金属機械工業がさかんなブエノスアイレス州,サンタフェ州,及びコルドバ州(注:当地報道によると,財政危機がより深刻とされている3州)にとって有益であるとしたほか,雇用の維持に関しては,昨年12月1日時点の就業率を基本ラインに設定する旨発表した。
11 「5月広場の母」の住宅建設事業を巡る問題
(1)19日,社会開発省から人権団体「5月広場の母」(注:亜軍政期の行方不明者問題の真相究明を求める行方不明者家族会)に支出された,低所得者層向け住宅建設用資金の2億8千万ペソを横領した疑いで先月逮捕されていたパブロ・ショクレンデル被疑者及びアレハンドロ・ゴトキン被疑者が,国外逃亡ならびに証拠隠滅等の恐れがないことから,保釈金を支払って釈放された。
(2)一方,「5月広場の母」の元代理人セルヒオ・ショクレンデル被疑者は,25日に連邦裁判所に出廷し,2億8千万ペソの横領の事実を否定した上で,5月30日の同法廷での証言を繰り返し,社会開発省からの資金の管理が同人権団体のエベ・デ・ボナフィニ代表とその娘のマリア・アレハンドラ・ボナフィニ氏に委ねられていた旨発言した。28日,同元代理人は国外逃亡ならびに証拠隠滅等の恐れがないことから裁判所により釈放を言い渡されたが,オジャルビデ連邦判事により400万ペソの保釈金の支払いを命じられた。
12 ブエノスアイレス州の税制改革
(1)ブエノスアイレス州の農業生産者は,5月31日に同州農村部における固定資産税の増税を含む税制改革法案が成立したことを受け,2日から9日間,農産物販売を停止するストライキを実施した。また4日からは,同州の複数の道路が封鎖され,輸出用穀物など農産物の運搬に影響が出た。
(2)5日,アルゼンチン農業連盟(FAA)のブッシ会長は,同税制改革に反対の意を示し,乳製品以外の農牧産品の販売を全国的に1週間停止するストライキを実施する旨発表した。
13 ブエノスアイレス州の公務員の冬期ボーナス分割支払い
28日,ロレンシーノ経済・財政大臣はブエノスアイレス州に対する地方交付金として,国から10億ペソを支出する旨発表した。これは同州が見込んでいた28億ペソを大幅に下回る額であり,財政難に苦しむ同州政府は29日,同州の公務員に対する冬期ボーナスの支払いを7月から10月にかけて4回の分割払いで実施する旨発表した。
III 外交
1 ナミビア
1日,ティメルマン外相は,訪亜したヌジョマ・ナミビア外相と会談し,二国間アジェンダをレビューしたほか,農業,教育,人権等の分野における協力関係及び貿易関係の強化を図ることで合意した。また,ティメルマン外相は,フォークランド(マルビナス)諸島領有権問題に関するナミビアの従来からの支持に謝意を表明した。
2 セルビア
1日,ティメルマン外相は,訪亜したイェレミッチ・セルビア外相と会談し,二国間関係につき協議した。また,両外相は,コソボ問題及びマルビナス問題に関する相互の支持を再確認した。
3 OAS総会
(1)2〜5日,ボリビアを訪問したティメルマン外相は,第42回OAS総会に出席し,主権と食料安全保障に関する亜の立場につき演説を行ったところ,概要以下のとおり。
(ア)今次会合は,平和,安全,民主主義,人権といった価値を常に念頭に置きながら,立場の違いを恐れることなく,様々なテーマについて共に建設的な解決策を模索するために適した場であると言える。主権と食料安全保障に関する決議に対する亜の支持を表明する。
(イ)多くの先進国の保護措置によって生じた富の不平等な分配と国際貿易の歪みこそが,世界や我々の地域における貧困の主たる原因である。自由貿易のリーダー国であると自称している幾つかの先進国は,食糧安全保障を言い訳として農業分野における保護主義を正当化している。亜は,食料供給の向上と増加を図るために,農業分野における保護主義と補助金の撤廃に尽力してきている。
(ウ)世界の農業輸出に占める発展途上国の割合は,1970年には16.9%であったものが2007年には6.1%に減少している。一方,OECD諸国による食料輸入は減少しており,1970年に15.6%であったものが2007年には3.8%となっている。このような傾向は,貿易構造に大きく由来するものであり,同構造を変革する必要がある。
(エ)世界の主要食料生産国である亜は,家族単位の農業を促進している。亜の食料生産のうち,家族単位の農業による生産は,19.2%を占め,貧困との闘いに有効な手段となっており,雇用を創出し,食料安全保障に貢献している。また,技術革新やバイオテクノロジーの活用により,より一層高い効果が上がるものとなっている。
(オ)南南協力は,食料生産分野におけるノウハウと技術を移転するために役立つ手段である。農業分野における最新技術の移転は,食料輸出それ自体よりも重要である。亜は,農地を家族の手に取り戻すことに主眼を置いた南南協力の実施に努めている。
(カ)米州は,現在及び将来の人々のために十分な食料を提供できる地域である。食料安全保障は,貧困や栄養失調の問題とも関係する重要なテーマである。我々は,社会的包摂を伴う雇用創出のための政策を以て,環境保護に留意し,クリーン技術を取り入れながら,貧困や栄養失調の問題を完全に撲滅しなくてはならない。
(2)また,4日,第42回OAS総会において,「米州防災・災害支援・人道支援調整計画(Plan Interamericano
para la Coordinacion de la Prevencion, la Atencion de los
Desastres y la Asistencia Humanitaria)」が採択された。同計画は,亜が推進してきたものであり,人道支援に関する調整作業が重複して行われないよう情報や経験等の交換の促進を図ることを目的とするもの。
4 フォークランド(マルビナス)諸島領有権問題
(1)4日,マルビナス諸島周辺海域において石油採掘活動に従事する5社につき,亜大陸棚において亜政府の許可なしに違法な活動を行っている旨宣言する亜公共事業省エネルギー庁令が発布された。また,同日付亜外務省プレスリリースは,今次亜公共事業省エネルギー庁令の発布を受けて,これら5社に対する民事・司法手続きが開始されることになる旨発表した。
(2)5日,第42回OAS総会において,マルビナス諸島領有権問題の平和的解決のために,亜と英国による交渉の早期再開の必要性を再確認する宣言案がブラジルにより提出され,同宣言案は満場一致で採択された。
(3)7日,ブラウン英外務閣外相は,フォークランド紛争終戦30周年式典に出席するためフォークランド諸島を訪問する旨発表した。8日,ティメルマン外相は,「マルビナス諸島訪問予定のブラウン閣外相に対し,同訪問の機会にブエノスアイレスも訪問するよう招待する。」等記した書簡をヘーグ英外相宛に送付した。8日,英外務省報道官は,ティメルマン外相からブラウン閣外相に対するブエノスアイレス訪問招待に謝意を表明しつつも,ブラウン閣外相の予定に空きがないとして同招待を断った。
(4)12日,フォークランド諸島民は,同島民の政治的立場を決定するための住民投票を2013年前半に実施する旨発表した。同発表を受け,キャメロン英首相は,住民投票の結果を尊重し擁護する旨述べ,亜に対しても同結果を尊重するよう要請した。一方,カルモナ亜下院外交委員会委員長は,マルビナス諸島に入植した英国民による住民投票には如何なる効力もない等述べた。
(5)14日,ニューヨークを訪問したフェルナンデス大統領は,国連非植民地化特別委員会会合に出席して演説を行ったところ,同演説概要以下のとおり。また,同会合では,亜政府及び英国政府に対して,マルビナス諸島領有権問題を早期且つ平和的に解決するための交渉再開を通じた,現行の対話・協力プロセスの強化を求める決議がコンセンサスにて採択された。
(ア)マルビナス紛争は,当時の軍事政権が,亜国民に問うことなく一方的に開始を決定したものである。このことは,先般自分が機密解除を指示した「ラッテンバッハ報告書」(注:同報告書は,マルビナス紛争終結後,同戦争における軍の行動等を分析・評価するために当時の亜軍事政権の提唱により作成されたもの。)に明らかである。
(イ)今日,亜は,人権分野における世界のリーダーである。亜ほど世界各国から移民を受け入れている国は少なく,亜はコスモポリタンな国であり,全ての住民の人権を尊重している。イギリス人移民は,マルビナス諸島よりも亜本土に多いほどである。
(ウ)歴史を見ればマルビナス諸島における亜の主権に疑問の余地はないが,地理的にも,英国から1万4千キロ離れたところにあるマルビナス諸島を英国領と主張するなどあり得ないことである。また,マルビナス諸島は,アルゼンチンのみならず,南米大陸の大陸棚の一部でもある。
(エ)マルビナス諸島領有権問題に関し,これまでに11の国連決議及び29の国連非植民地化特別委員会決議が出されており,UNASUR,メルコスール,SICA,アフリカ諸国,アラブ諸国等も同様の声明等を出してきている。しかし,現実には,安保理常任理事国である英国がその特権を行使しているために意味を持たない。
(オ)1974年6月に英国から亜に対して発出された,マルビナス諸島の共同統治の方法について提案する秘密文書がある。(マルビナス諸島の公用旗を英国旗及び亜国旗とすること,公用語を英語及び西語とすること等を提案する同文書及びそれに対する亜の返答文書を読み上げた後,)このように亜と英国は交渉を行っていたわけであるが,1974年7月のペロン大統領の死去や亜におけるクーデター等により,同交渉は中断された。
(カ)本日,英首相官邸において,英国が呼ぶところのフォークランド諸島の旗が掲揚されているのを見たが,戦争は祝うものでも記念すべきものでもなく,他人事ながら恥(という感情)を禁じ得なかった。ドイツが無条件降伏した5月8日に,英首相官邸において,英国旗の下にドイツ国旗が掲揚されているのを見たなら,ドイツ国民或いはメルケル・ドイツ首相はどう思うだろうか。また,8月15日に,米大統領が,ホワイトハウスにおいて,米国旗の下に日本の国旗を掲揚したら,日本はどう思うだろうか。覚えていない方々のために言うと,8月15日は長崎及び広島(への原爆投下)を経て日本帝国が降伏した日である。
(キ)なぜ,マルビナス紛争開戦を決定した当時の軍事政権とは何の関係もない我々が非難されなければならないのか。我々は被害者であり,今日まで軍事政権期の行方不明者を探し続けている。1983年の民政移管後,亜は,平和維持活動のみに軍事ミッションを派遣しており,ハイチやキプロスには派遣しているが,イラクやアフガニスタンには派遣していない。
(ク)(マルビナス諸島民の)住民投票に関しては,なぜ,アフガニスタンやイランにおいても同様の投票が行われないのだろうか。
(ケ)平和地域であるマルビナス諸島領域において,漁業資源及び石油資源の搾取が無制限に行われている。我々の地域の兄弟国が亜を支持しているのは,非軍事地帯である南大西洋の軍事化が図られていることにも関係する。マルビナス諸島問題は,南米の資源と非軍事地帯の擁護という観点から地域の問題であり,また国連といった国際機関の役割の擁護という観点から国際問題でもある。英国が国連決議を遵守していないという事実は,亜との二国間問題というよりも,国際秩序に影響を与える問題である。
(コ)亜には交渉の用意がある。亜は国連決議を遵守し続ける。今後の世界の鍵を握るのはエネルギー,食料,科学技術であるので,英国は,より賢明に行動すべきであり,マルビナス諸島問題を内政のために利用すべきではない。グローバル化した世界において,亜と英国が交渉することにより,多くの問題が解決され,更には南米や世界全体にとって有益なパートナーシップの構築にも繋がる可能性がある。亜は,植民地主義の歴史を後にし,対話に基づく新たな歴史を構築したいと考えている。亜は対話を求めているだけであり,マルビナス諸島が亜に属すると言えと要請しているのではない。現代の世界において,対話を拒絶しておきながら,人権や自由や文明化社会等の指導者になろうとするなどあり得ない。
(サ)最後に,メルコスール,CELAC,SICA,国連非植民地化特別委員会,アラブ諸国,アフリカ諸国等からの支持に謝意を表明する。
(6)19日,G20サミットに出席するためメキシコを訪問したフェルナンデス大統領は,キャメロン英首相と立ち話を行った。スコッチマーロ報道官は,同立ち話につき,「まず,歩み寄ってきたキャメロン首相からフェルナンデス大統領に対し,最後の貸し手となる欧州銀行同盟創設への支持に対する謝意表明があり,続いてマルビナス諸島民による住民投票の結果を尊重するよう要請があった。これに対し,フェルナンデス大統領は,マルビナス諸島領有権問題に関する国連等の40の決議が入った封筒を差し出してこれら決議の遵守を求めた。しかし,キャメロン首相は,主権について話すつもりはない旨応じ,同封筒を受け取らずに立ち去った。」と述べた。ティメルマン外相は,「欧州危機について議論する場にマルビナス問題を持ちだしたのはキャメロン首相の方である。英政府は,世界において亜に対する支持が強まっていることに懸念している様子である。」等述べた。
5 コスタリカ
6日,ティメルマン外相は,訪亜したカスティージョ・コスタリカ外相と会談した。カスティージョ外相は,マルビナス諸島領有権問題に関し,亜に対する支持を再表明した。他方,ティメルマン外相は,亜の安保理非常任理事国(任期2013〜2014年)立候補に対するコスタリカの支持に謝意を表明した。
6 国連総会
(1)8日,ティメルマン外相は,次期第67回国連総会議長に選出されたイェレミッチ・セルビア外相宛に書簡を送付し,亜政府の祝意を表明した。
(2)25日,ティメルマン外相は,訪亜したナスル第66回国連総会議長と会談し,マルビナス諸島領有権問題,紛争の平和的解決,国連改革,国際テロ等につき協議した。
また,ティメルマン外相は,マルビナス諸島領有権問題を平和的に解決するため,亜と英国間の交渉再開に向けて尽力する用意があるとしたナスル議長に対して謝意を表明した。
7 南米諸国連合(UNASUR)
11日,ティメルマン外相は,コロンビアを訪問し,UNASUR臨時外相会合に出席した。同会合では,アリ・ロドリゲス・ベネズエラ元外相が新UNASUR事務局長に就任した。
8 コートジボワール
12日,亜政府は,外務省プレスリリースを通じて,コートジボワールにおいて国連コートジボワール活動(UNOCI)の構成員であるニジェール人要員7名が攻撃を受けて死亡したことにつき,UNOCI要員に対する暴力への強い非難並びに国連,ニジェール及びコートジボワールに対する弔意と連帯の意を表明した。
9 G20ロスカボス・サミット
18〜19日,フェルナンデス大統領は,G20ロスカボス・サミットに出席するためメキシコを訪問した。同大統領のサミットにおける発言概要は以下のとおり。
(1)財政緊縮政策ではなく,成長を維持するための積極的な政策を維持する必要がある。2008年以降多くの若者が失職しているが,危機から脱出するためには,雇用を創出するための積極的措置を取るべきである。
(2)困難な状況下にある国の債務の再編成が必要である。同再編成は,(2001年の亜経済危機に際して)亜を孤立させたような形ではなく,支援を行いながら共に行うべきものである。
(3)欧州は,1つに統合された中央銀行を持つべきである。欧州大陸には,中心諸国と周辺諸国とがある。欧州周辺諸国からドイツといった欧州中心諸国や米国等に資金が流れ,その資金が高い利子の債務という形で欧州周辺諸国に戻ってくる悪循環を断ち切ろうではないか。
(4)未だに存在し続けているタックスヘイブンは,欧州周辺諸国からの資金流出を助長しており,廃止すべきである。また,信用格付会社を規制する必要もある。国際金融構造の改革が必要である。
10 ブラジル
18日,G20サミットに出席するためメキシコを訪問したフェルナンデス大統領は,サミット開始前,ルセフ・ブラジル大統領と会談し,今次サミットにおいて,財政緊縮政策に反対すること,また,その観点から欧州特にドイツの提案内容に耳を傾けることで合意した。同会談後,ティメルマン外相は,欧州による財政緊縮政策につき,世界経済の近年の成長を支えてきた新興諸国の経済成長を鈍化させるものである等述べた。
11 ロシア
19日,G20サミットに出席するためメキシコを訪問したフェルナンデス大統領は,プーチン・ロシア大統領と会談した。フェルナンデス大統領は,プーチン大統領に対して訪亜を招待したほか,マルビナス諸島領有権問題に関するロシアの支持に謝意を表明した。また,プーチン大統領は,ロシア・サンクトペテルブルグでの次期G20サミットにおいてフェルナンデス大統領を迎えたい旨述べた。更に,両大統領は,亜の石油会社YPF社とロシアの国営天然ガス生産・供給会社ガスプロム社に対して対話を開始するよう指示した。
12 フランス
19日,G20サミットに出席するためメキシコを訪問したフェルナンデス大統領は,オランド・フランス大統領と約30分間会談した。同会談には,ティメルマン外相及びロレンシーノ経済相が同席した。同会談においてパリクラブ債務問題が取り上げられた可能性がある旨報じられた。
13 中国
(1)19日,G20サミットに出席するためメキシコを訪問したフェルナンデス大統領は,胡錦濤・中国国家主席と約30分間会談し,温家宝・中国首相の23〜25日の訪亜について協議した。また,両者は,二国間貿易関係を強化することで合意したほか,G20における両国の立場を調整し,亜が次期安保理非常任理事国となることについて対話を行った。更に,両者は,国際危機に対する発展途上国の役割につき分析し,欧州諸国が更なる努力をすべきという点で合意した。フェルナンデス大統領は,胡錦濤主席に対し,マルビナス諸島領有権問題に関する中国からの支持に謝意を表明した。
(2)25日,フェルナンデス大統領は,外交関係樹立40周年を記念して訪亜した温家宝・中国首相と会談し,特に貿易分野等の二国間の主要テーマにつき協議した。また,フェルナンデス大統領は,マルビナス諸島領有権問題に関する中国の支持に謝意を表明した。同会談後,両者は,二国間協定等の署名式に出席したところ,署名された主な協定等は以下のとおり。
(ア)亜公共事業省及び中国国家発展開発委員会間の原子力協力協定(亜における4基目の原子力発電所建設に向けた共同調査の実施,核燃料製造技術の移転,核原料物質の提供等)
(イ)亜農牧省及び中国農業部間の種子分野における協力覚書(油糧種子の生産と貿易分野における二国間協力)
(ウ)亜農牧省及び中国国家穀物管理局間の協力覚書(農業,牧畜・酪農,水産分野の二国間協力の強化,穀物及び同加工品への投資,技術協力,企業間交流の拡大)
(エ)亜経済省,中国開発銀行及び中国工商銀行間の亜ベルグラーノ貨物線復旧計画に対する融資契約(約95億ドルのクレジットライン,年利率Libor+2.9%,返済期間15年,返済猶予期間5年)
(オ)亜投資貿易銀行(BICE)及び中国開発銀行間の融資増加に関するインテンションレター(増加額約9億ペソ)
(カ)刑事司法における協力に関する二国間条約
14 メルコスール・中国関係
(1)25日,フェルナンデス大統領は,訪亜した温家宝・中国首相の同席の下,ルセフ・ブラジル大統領並びにムヒカ・ウルグアイ大統領とのメルコスール・ビデオカンファレンスを主催した。同ビデオカンファレンスでは,温家宝首相からメルコスールと中国の自由貿易協定締結に関するフィージビリティー・スタディーの開始につき提案があり,29日のメルコスール首脳会合において引き続き協議されることになった。
(2)29日,メルコスール首脳会合において,「メルコスール及び中国の経済・貿易協力強化に関する共同宣言」が採択された。同宣言は,互恵的な経済・貿易協力関係の強化を約束するもの。
15 パラグアイ情勢
(1)21〜22日,ティメルマン外相は,UNASUR各国外相等とともにパラグアイを訪問し,パラグアイの政党関係者及び議会関係者と協議を行った。22日,UNASUR各国外相等は,ルゴ大統領の弾劾を非難する共同声明を発出した。
(2)22日,フェルナンデス大統領は,記者会見において,パラグアイ情勢に関し,「パラグアイにおいて発生したクーデターを当国は認めない旨表明したい。このような反民主的行為を克服したこの地域にとって,(このクーデターを)認めることは出来ない。これはルゴ大統領に限定された問題ではなく,民主主義体制に対する決定的な攻撃であり,南米では克服できたと思われていた状況の再来を意味するものである。ルゴ大統領に対する非難の1つは,メルコスールの基本的な要件である民主主義条項に署名したこととされており,これは最早政治的パロディーである。」旨述べた。
(3)24日,ティメルマン外相は,パラグアイ情勢につき,「亜政府は民主的秩序の断絶と見ている。本件は,パラグアイ憲法の規定を使用してはいるが,同憲法の精神
及び民主主義世界のあらゆる憲法の実践を無視している。」旨述べ,民主的に選出された大統領に弁護の時間を2時間しか与えていないこと,また,野党勢力にはUNASUR外相と対話する姿勢が全くないこと等につき非難した。
(4)24日,亜外務省(メルコスール議長国)は,パラグアイ情勢に関し,メルコスール加盟国・準加盟国等による「デュープロセスを無視したパラグアイにおける民主的秩序の断絶に対し,強い非難を表明する。」等とする声明を発表した。
(5)29日,亜メンドーサにおいて,メルコスール首脳会合が開催され,パラグアイ情勢等につき協議された。同会合では,パラグアイに対する経済的制裁は行わないとしつつも,同国の民主的秩序の回復が確認されるまでの間,同国のメルコスール参加権を停止する旨決定された。また,ベネズエラのメルコスール正式加盟も決定され,同正式加盟承認のために,7月31日,リオデジャネイロにおいてメルコスール特別会合を開催することが決定された。
(6)29日,亜メンドーサにおいて,パラグアイ情勢について協議するため,メルコスール首脳会合に引き続き南米諸国連合(UNASUR)臨時首脳会合が開催された。同会合では,パラグアイにおいて公正且つ民主的な選挙によって大統領が選出され,民主的秩序が回復するまでの間,パラグアイのUNASUR参加権を停止する旨決定された。また,UNASUR内にパラグアイ情勢をフォロー及び評価するためのハイレベル・グループを設置することも決定された。
16 要人往来
(1)往訪
2〜5日 |
ティメルマン外相のボリビア訪問(OAS総会に出席) |
4日 |
ジャウアル農牧相の中国訪問(支樹平(Zhi Shuping)中国国家質量監督検験検疫総局局長と会談) |
4〜5日 |
プリチェリ国防相のパラグアイ訪問(UNASUR国防大臣会合に出席) |
11日 |
ティメルマン外相のコロンビア訪問(UNASUR特別外相会合に出席) |
14〜17日 |
フェルナンデス大統領の米国訪問(国連非植民地化特別委員会に出席) |
18〜19日 |
フェルナンデス大統領のメキシコ訪問(G20首脳会合に出席) |
18日 |
アラク司法相のイタリア訪問(金融活動作業部会(FAFT)総会に出席) |
20日 |
フェルナンデス大統領のブラジル訪問(リオ+20に出席) |
21〜22日 |
ティメルマン外相のパラグアイ訪問(UNASUR外相によるパラグアイ訪問) |
(2)来訪
1日 |
ヌジョマ・ナミビア外相(ティメルマン外相と会談) |
1日 |
イェレミッチ・セルビア外相(ティメルマン外相と会談) |
6日 |
カスティージョ・コスタリカ外相(ティメルマン外相と会談) |
23〜26日 |
温家宝・中国首相(フェルナンデス大統領と会談) |
25日 |
ナスル第66回国連総会議長(ティメルマン外相と会談) |
29日 |
メルコスール加盟各国首脳(メルコスール首脳会合に出席) |