政治情報
月1回更新

2011年7月アルゼンチンの政治情勢(内政・外交)

2011年8月作成
在アルゼンチン大使館

 

I 概要


(1)内政面では,ブエノスアイレス市長選挙においてマクリ候補(共和国提案)が当選(再選)し,サンタフェ州知事選挙においてボンファッティ候補(社会党)が当選し,野党の大統領候補等は,上記両選挙におけるキルチネル派候補の敗北に満足の意を表した。ティエラデルフエゴ州知事選挙ではキルチネル派候補が当選した。


(2)外交面では,フェルナンデス大統領が,ペルーを訪問してウマラ同国大統領就任式及び南米諸国連合(UNASUR)臨時首脳会合に出席した他,ブラジルを訪問してルセフ同国大統領と会談した。ティメルマン外相は,ハイチを訪問してマルテリー同国大統領と会談した他,フランスを訪問してジュペ同国外務・欧州問題相と会談した。その他,亜において,亜・伯核物質計量・管理機関(ABACC)設立20周年記念式典が開催され,パトリオッタ・ブラジル外相,天野IAEA事務局長等が出席した。

 

II 内政


1 ティエラデルフエゴ州知事選挙の決選投票


(1)3日,ティエラデルフエゴ州において,ベルトネ候補(下院議員。ペロン党キルチネル派)及びリオス候補(同州知事。パタゴニア社会党。キルチネル派)による州知事選挙の決選投票が実施されたところ(注:同選挙の第1回投票は6月26日に実施された),リオス候補の当選(再選)が決定した(得票率は,リオス候補が50.2%,ベルトネ候補が48.1%)。


(2)同日,同州を訪問した直後に上記結果を確認したランダッソ内相は,フェルナンデス政権とリオス候補の関係は「極めて良好」であるとした上,「我々は,中央政府の政策を常に支持してきたリオス知事を祝福するためにこの場にいるのである」等述べた。リオス候補は,ランダッソ内相の祝福を受け,これまで同様フェルナンデス政権を支持していく旨述べた。

 

2 ブエノスアイレス市長選挙(第1回投票)


(1)10日,ブエノスアイレス市において,市長・副市長,市議会議員(全60議席中30議席)等の選挙が実施された。市長選挙には,マクリ候補(同市市長。「共和国提案」),フィルムス候補(上院議員。「勝利のための戦線」),ソラナス候補(下院議員。「南プロジェクト」)等が出馬していたが,同日の投票では当選者が確定せず(得票率は,マクリ候補が47.1%,フィルムス候補が27.8%,ソラナス候補が12.8%),マクリ候補及びフィルムス候補による決選投票が,31日に実施されることとなった(注:同市市長選挙では,第1回投票において有効投票数の過半数を獲得した候補はその時点で当選するが,いずれの候補もその得票に至らなかった場合,上位2候補による決選投票が実施される旨規定されている)。


(2)マクリ候補は,「決選投票に進む準備がある。我々が市民から受けた支持は劇的なものであった」,「差異のために(対抗勢力と)決別しないようにしたい。我々の間に和解し得ない差異があると考える人々に対しては,(対抗勢力への)攻撃を緩めるよう呼びかけたい。あらゆる人々のためのプロジェクトを可能にするような方法を模索しよう」等述べた。


(3)フィルムス候補は,「我々は,ブエノスアイレス市における「勝利のための戦線」の歴史において最も高い得票率を獲得した」と述べた上で,決選投票に進む意向を表明した。


(4)落選が確定したソラナス候補は,「異なる結果を期待してはいたが,「南プロジェクト」は,2つの政府(注:フェルナンデス政権及びマクリ政権)の代替案となる計画を持つ唯一の勢力である」,「今次選挙は実に二極化されていた。2つの政府による広報キャンペーンへの支出や世論調査の操作がこの二極化を支えていた」等述べた。


(5)野党の大統領候補らは,いずれも,上記選挙において「勝利のための戦線」が「共和国提案」の得票を大きく下回ったことに満足の意を表した。

 

3 サンタフェ州知事選挙


(1)24日,サンタフェ州において,知事・副知事,州議会議員(上院全19議席及び下院全50議席),市長(43の市),市議会議員等の選挙が実施された。知事選挙には,ボンファッティ候補(同州官房長官。社会党),トレス候補(俳優。共和国提案),ロッシ候補(キルチネル派下院議員団長)等が出馬していたが,開票の結果,ボンファッティ候補の当選が決定した(得票率は,ボンファッティ候補が38.7%,トレス候補が35.2%,ロッシ候補が22.2%)。


(2)当選したボンファッティ候補は,「我々は,サンタフェ州において,そして全国において,(キルチネル派とは)異なる選択肢を構築することができるということを示した。サンタフェ州民は一つの方向性を示した」と述べた。また,同候補を擁立していたビネル・サンタフェ州知事(社会党)は,「我々は,中央政府に屈服する必要のない唯一の州であるという名誉を得た」と述べ,同候補の勝利を祝福した。


(3)トレス候補は,「我々が人々の中にこれ程の愛着を呼び起こしているとは想像していなかった。我々にとって,これはもはや感動的な勝利である」と述べた。また,同候補を擁立していたマクリ・ブエノスアイレス市長(共和国提案)は,「フェルナンデス大統領の提案(注:ロッシ候補)が最も拒絶されるものとなった。我々は,トレス候補の選挙及びその結果に感動した」と述べた。


(4)上記両候補に大敗を喫したロッシ候補は,「今次選挙結果の責任を負う者がいるとすれば,それは候補者である」と述べた他,「明日からは,フェルナンデス大統領の勝利のために働かなければならない」と述べた。

 

4 ブエノスアイレス市長選挙の決選投票


(1)31日,ブエノスアイレス市において,マクリ候補及びフィルムス候補による市長選挙(上記2参照)の決選投票が実施されたところ,マクリ候補の当選(再選)が決定した(得票率は,マクリ候補が64.25%,フィルムス候補が35.75%)。


(2)当選したマクリ候補は,「ブエノスアイレス市及びサンタフェ州において,有権者は変化のために投票した」,「これらの票は,法を遵守し,尊厳を持ち,自由と多様性を愛する人々の票である」等述べた。また,同候補は,14日に実施される国政選挙の予備選挙が終わるまで,特定の大統領候補を支持することはしないとして,「14日の後,各(大統領)候補と会談し,かれらがブエノスアイレス市に対していかなる提案を持っているかを見定めた上で,(どの候補を支持するかを)決定する」と述べた。


(3)フィルムス候補は,敗北を認めた上で,「我々は謙虚に学び,自省して,向上しなければならない」,「決選投票を行った甲斐はあった。我々の得票は第1回投票よりも少なくなると言われていた(がそうはならなかった)」等述べた他,当選したマクリ候補に対する祝意を表明した。


(4)フェルナンデス大統領は,マクリ候補に電話で祝意を伝えた。ランダッソ内相は,「我々(注:「勝利のための戦線」)は,ブエノスアイレス市において第2の勢力として確固たるものとなった」,「フェルナンデス大統領は満足している。我々は35%以上の得票率を獲得したが,これは同大統領に対する支持票である」と述べた。


(5)アルフォンシン下院議員(急進党。「社会開発のための連合」大統領候補)は,「今回の結果と,(8月7日に実施される)コルドバ州知事選挙の結果(注:同州知事選挙には「勝利のための戦線」の候補が出馬していない)により,(大統領選挙において,フェルナンデス大統領が第1回投票で当選することはなく,)決選投票が行われる可能性が高まるだろう」と述べた他,自身が大統領になった場合にはブエノスアイレス市と国の関係が改善される旨述べた。ドゥアルデ元暫定大統領(ペロン党反キルチネル派。「民衆戦線」大統領候補)は,「マクリ候補の勝利は,フェルナンデス大統領が既に(大統領選挙に)勝利しているという神話を崩壊させ,野党に新たな風を送り込んだ」と述べた他,「マクリ市長の票は恐らく私に流れるだろう」と述べた。カリオ下院議員(市民連合。「市民連合」大統領候補)は,「フェルナンデス大統領が(大統領選挙の)第1回投票或いは決選投票において勝利することが難しいということが,ますます明らかになってきている」と述べた。ビネル・サンタフェ州知事(社会党。「革新派拡大戦線」大統領候補)は,「これは重要な勝利であり,マクリ候補に祝意を表する。私は,ブエノスアイレス市と国の関係を変えるという希望を持っている。対立を終わらせる必要がある。キルチネル派の政治モデルは終焉に向かっている」と述べた。

 

5 フェルナンデス大統領の動向


(1)4日,フェルナンデス大統領は,大統領府において演説を行い,チリ南部の火山噴火(6月4日)の影響を受けているパタゴニア地方の住民に対する措置として,失業者世帯向け児童手当等の一時増額,農牧生産者向け補助金の臨時支給,同地方内の国道工事の開始等による雇用創出等を実施する旨発表した。その他,同大統領は,「火山灰の除去作業に必要な機械類を借用するための資金の貸付について米州開発銀行(IDB)と交渉している。これにより,60〜90日で同除去作業は完了するだろう」と述べた。


(2)5日,同大統領は,大統領府において演説を行い,売春を斡旋する広告を禁止する政令に署名した旨発表した。同演説において,同大統領は,「人身売買対策としてのみならず,差別対策としての大いなる一歩となった。売春は犯罪の遂行手段であるばかりでなく,女性の地位に対する深刻な差別でもあるからである」と述べた。同政令は6日付官報掲載を以て公布された。

 

6 アルフォンシン下院議員の動向


(1)5日,アルフォンシン下院議員(急進党。「社会開発のための連合」大統領候補)は,自らが大統領に就任した場合に実践する政策の一つとして,中産階級の若者層等による住宅購入を支援するための長期抵当貸制度の計画を発表した。同下院議員は,「現在の高いインフレ率のために,十分な資金を持たない人々に対する貸付の条件が整わなくなっているのである」等述べた。


(2)26日,アルフォンシン下院議員,デ・ナルバエス下院議員(ペロン党反キルチネル派。「社会開発のための連合」ブエノスアイレス州知事候補)等は,マスメディアを通じた選挙キャンペーンのための放送枠が各勢力に正当に割り当てられていない等主張し(注:2009年12月に成立した政治改革法の規定により,各勢力が民間放送局と個別に契約することは禁じられており,政府が各勢力に放送枠を無料で割り当てるとされている),内務省国家選挙局を批判すると共に,ブエノスアイレス州選挙裁判所に告訴する旨発表した。

 

7 フフイ州の土地占拠者問題


(1)28日,フフイ州において,同州警察が土地の不法占拠者らを立ち退かせる措置を試みたところ,激しい抵抗を受け,結果,警官1名を含む4名の死者及び数十名の負傷者が生じた。


(2)これを受け,野党からは,バリオヌエボ同州知事(ペロン党キルチネル派)及びフェルナンデス政権に対する批判が生じた。ドゥアルデ元暫定大統領(ペロン党反キルチネル派。「民衆戦線」大統領候補)は,「フフイ州で起こった出来事は,現(キルチネル派)政権にとっての人権の在り方を示すものである」と述べ,カリオ下院議員(市民連合。「市民連合」大統領候補)は,「貧しい人々が体制による暴力の犠牲になるのを再び目の当たりにし,苦痛を覚える。今般フフイ州の住民らが被った弾圧を心より非難し,被害者及び犠牲者に対する連帯を表明する」と述べた。


(3)29日,フフイ州において,上記負傷者等による抗議デモが実施された他,上記土地において再び不法占拠が開始され,その後,同占拠は周辺各地にも拡大した。また,同日,ブエノスアイレス市では,反キルチネル派の左派政党(南プロジェクト,労働者党等),労組(亜労働者連盟(CTA)ミチェリ派等),ピケテロ・グループ,人権団体等が,上記事件に対する抗議デモを実施した。

 

III 外交


1 ベネズエラ


 1日,亜政府は,亜外務省プレスリリースを通じて,チャベス・ベネズエラ大統領の健康の早期回復を祈願し,ベネズエラ政府・国民への連帯を再表明するとともに,ベネズエラにおいて開催される中南米カリブ諸国首脳会合への出席と地域統合へのコミットを再表明した。

 

2 原子力政策


 8日,亜外務省において,亜・伯核物質計量・管理機関(ABACC)設立20周年記念式典が開催された。同式典には,ティメルマン外相,マルクーゾABACC事務局長,パトリオッタ伯外相,天野IAEA事務局長等が出席した。同式典において,ティメルマン外相は,演説を行い,「ABACCは,信頼と相互尊重に基づいた地域統合の要となっており,亜の南米戦略の要でもある。2003年以降,亜政府は,原発建設等の原子力政策に力を注ぐとともに,核のない世界を目標とした,国際場裡における核不拡散政策に積極的に参画している。また,2010年,亜と伯は,サンフアン宣言により,ABACCの保障措置を不断に見直し,強化する意図を表明している。2011年は,ABACCの国際的ステータスに変化が見られた年であり,まず,ABACCは,IAEA理事会にオブザーバーとして参加する地位を得た。また,約2週間前,NSGは,原子力分野における技術の移転に関する新たなガイドラインを定めた際,ABACCへの参加をIAEA追加議定書の遵守に代わる尺度であると認めた。我々は,国際場裡,特にIAEAの枠組みにおいて,核不拡散や,地域と世界の平和のためにABACCが果たしている法的・政治的役割が認められるよう,引き続きABACCを支援していく所存である。」等述べた。また,同式典後,フェルナンデス大統領は,天野事務局長と官邸において会談し,同会談にはティメルマン外相,パトリオッタ外相等が同席した。

 

3 パラグアイ


 12日,アギレ・パラグアイ外務副大臣が訪亜し,ダロット筆頭外務副大臣と会談した。両者は,8月末にブエノスアイレス市で開催される第5回アジア中南米協力フォーラム(FEALAC)外相会合等につき協議した。

 

4 インド


 14日,亜政府は,亜外務省プレスリリースを通じて,ムンバイにおける連続テロ事件を強く非難し,全てのテロ行為を拒絶するとともに,インド政府・国民への連帯と遺族への弔意を表明した。

 

5 イラン


(1)17日,亜外務省は,プレスリリースを通じ,イラン国営通信(IRNA)による,イラン政府がイスラエル共済組合(AMIA)会館爆破事件の真相究明のために亜政府と建設的な対話と協力を行う用意があるとする報道につき,イラン側からの正式な通知を待つが,報道内容が事実であると確認された場合には前代未聞の進展を意味することになる旨発表した。


(2)18日,AMIA会館爆破事件19周年追悼式典が開催され,フェルナンデス大統領,ブドゥー経済相他閣僚,遺族等が出席した。同式典において,ボルヘルAMIA代表は,亜政府に対し,同事件の早期解決を改めて要請した。

 

6 中国


(1)19〜21日,ドミンゲス農牧相は,中国を訪問し,19日,第18回亜・中経済合同委員会会合に出席した。ドミンゲス農牧相は,同委員会委員長を務めるクレックレル外務副大臣(通商・国際経済担当)と共に同会合議長を務め,マジョラル公共事業省鉱業長官等が同席した。同会合では,亜産品の対中国輸出の増加を可能にする中国市場アクセス制限の撤廃に関する合意がなされたほか,鉄道・地下鉄・港湾インフラ整備,鉱業,環境,牛・羊の畜産等の分野における協力や,スポーツ,産業技術,農牧畜等の分野における技術協力が推進され,二国間戦略的パートナーシップの強化が図られた。


(2)19日,ドミンゲス農牧相は,支樹平(Zhi Shuping)中国国家質量監督検験演繹総局局長と会談し,亜柑橘類の対中国輸出に関する協定,亜牛骨粉及び牛・羊・山羊の血の対中国輸出に関する議定書,葡萄栽培・ワイン醸造に関する協力協定が締結された。


(3)21日,ドミンゲス農牧相は,瓦振邦(Nie Zhenbang)中国国家糧食局局長と会談した。瓦振邦局長は,亜産大豆油の輸入増加及び亜産とうもろこしの輸入開始への関心を示した。


(4)21日,ドミンゲス農牧相は,韓長賦(Han Changfu)中国農業部長と会談し,バイオテクノロジー分野における協力覚書に署名した。また,亜・中バイオテクノロジー・ワーキンググループ会合が開催され,バイオテクノロジー分野における協力の強化が図られた。

 

7 麻薬密輸監視強化政策


 20日,フェルナンデス大統領は,サンティアゴデルエステロ州にて,亜北部における麻薬密輸等の監視を強化するためのレーダー設置計画を発表し,「亜が麻薬密輸の被害国となることを防ぐために,国境を防衛することができると信じている。亜国民の手によるアルゼンチン製レーダーの製造を誇らしく思う。亜の技術が全ての亜国民の安全のために役立つのは望ましいことである。」等述べた。同発表式典には,プリチェリ国防相,ガレ治安相,ランダッソ内相,マンスール厚生相,サモラ・サンティアゴデルエステロ州知事(急進党キルチネル派)等が出席した。同計画は,INVAP社(当館注:原子力,航空宇宙,医療等の応用研究・技術開発を進めるために設立された公社)が製造する3次元レーダー7機の亜北部への設置を図るものであり,まず第1号機がサンティアゴデルエステロ州の空港に設置され,残り6機については今後2年間かけて順次設置される予定である。また,フェルナンデス大統領は,既に亜北部に設置されている国軍製レーダー20機のINVAP社による近代化計画も併せて発表した。これら2つの計画は,国防省及び治安省の管轄の下に実行されることになる。更に,麻薬密輸等の監視を強化するために,レーダー設置に加え,航空機2機及びヘリコプター5機の増備,及び軍人270名の増員によりパトロールが強化される予定。

 

8 スロベニア


 20〜21日,Ljubica Jelusicスロベニア国防相が訪亜し,プリチェリ国防相と会談したほか,「近代の安全保障の挑戦とチャンス,スロベニアの見方」と題する講演を行った。

 

9 ハイチ


 21日,ティメルマン外相はハイチを訪問し,マルテリー・ハイチ大統領と会談した。同会談において,ティメルマン外相は,フェルナンデス大統領からのマルテリー大統領に対する訪亜招待を伝達するとともに,ハイチ政府の必要性に応じた対ハイチ支援を継続していく亜政府の意志を再表明した。また,ティメルマン外相は,フェルナンデス国連ハイチ安定化ミッション(MINUSTAH)国連事務総長特別代表,マッタロージョ在ハイチUNASUR技術事務所特別代表とそれぞれ会談したほか,亜国軍の移動式病院を視察し,亜国人医師67名と懇談した。

 

10 ノルウェー


 22日,亜政府は,亜外務省プレスリリースを通じて,オスロでのテロ事件を強く非難し,全てのテロ行為を拒絶するとともに,ノルウェー政府・国民への連帯と遺族への弔意を表明した。また,24日,フェルナンデス大統領は,同テロ事件に関し,ストルデンベルグ・ノルウェー首相宛に,弔意と連帯を表明する書簡を発出した。

 

11 フランス


 26日,ティメルマン外相は,フランスを訪問し,ジュペ・フランス外務・欧州問題相と会談した。両者は,G20等において議論されている国際テーマ,雇用と社会的包摂推進のために取られたアクションの重要性,野心的且つ均衡の取れたメルコスール・EU貿易協定が締結されることの重要性,二国間科学技術協力の進展等につき協議した。

 

12 チリ


 27日,ダロット筆頭外務副大臣は,チリを訪問し,シュミット・チリ外務次官と会談した。両者は,緊密且つ堅固な二国間関係を強調し,第3回二国間閣僚会合の開催(本年1月),第1回二国間統合委員会州知事会合の開催(本年5月),亜・チリ共同平和軍「南十字星(Cruz del Sur)」が2012年以降国連のマンデートの下で活動するための国連との間の覚書の署名(本年6月),アンデス貫通鉄道プロジェクトの進展等を祝した。また,両者は,本年9月に人権分野における二国間会合を開催することで合意した。

 

13 ペルー


 28日,フェルナンデス大統領は,ペルーを訪問し,ウマラ・ペルー大統領就任式典及びUNASUR臨時首脳会合に出席した。フェルナンデス大統領は,ウマラ大統領就任式典後の記者会見において,「ウマラ大統領の演説は,社会的包摂と祖国を強調した大変素晴らしいものであった。また,UNASUR臨時首脳会合の開催は,ウマラ政権が地域との関係の転換を図るという非常に明白なサインである。」等述べた。

 

14 ブラジル


 29日,フェルナンデス大統領は,ブラジルを訪問し,ルセフ・ブラジル大統領と会談したほか,新築された在ブラジル亜大使館開所式に出席した。両大統領は,会談後,原子力分野や国防分野における戦略的パートナーシップの重要性,地域統合のためのメルコスールやUNASURの重要性,貿易関係強化の必要性,安保理改革の重要性,国際経済の主要フォーラムとしてのG20の重要性,ドーハ・ラウンド交渉に関するメルコスールとしての共通立場を形成する必要性,対ハイチ支援継続への意志,二国間経済合同委員会設立への祝意,二国間統合・連携メカニズムにおける優先プロジェクト等を記した共同宣言に署名した。また,会談後の記者会見において,ルセフ大統領は,フォークランド(マルビナス)諸島領有権問題に関するブラジルの亜に対する支持を再表明し,フェルナンデス大統領は,同支持への謝意を表明した。なお,フェルナンデス大統領には,ティメルマン外相,ブドゥー経済相,ジョルジ産業相,クレックレル外務副大臣(通商・国際経済担当),カメロン・エネルギー長官,ビアンチ商工長官,ボエロ国家原子力委員会委員長等のほか,亜・ブラジル経済合同委員会(注:本年1月のルセフ大統領訪亜時の両国首脳による決定を受けて設置された)メンバーが同行した。

 

15 要人往来


(1)往訪

 

5日 ティメルマン外相のベネズエラ訪問(ベネズエラ独立宣言200周年記念式典に出席)
19〜21日 ドミンゲス農牧相の中国訪問(第18回亜・中経済合同委員会会合に出席,韓長賦中国農業部長と会談)
21日 ティメルマン外相のハイチ訪問(マルテリー・ハイチ大統領と会談)
26日 ティメルマン外相のフランス訪問(ジュペ・フランス外務・欧州問題相と会談)
27日 ダロット筆頭外務副大臣のチリ訪問(シュミット・チリ外務次官と会談)
28日 フェルナンデス大統領のペルー訪問(ウマラ・ペルー大統領就任式典及びUNASUR臨時首脳会合に出席)
29日 フェルナンデス大統領のブラジル訪問(ルセフ・ブラジル大統領と会談)


(2)来訪

 

8日 天野IAEA事務局長(ABACC設立20周年記念式典に出席,フェルナンデス大統領と会談)
8日 パトリオッタ伯外相(ABACC設立20周年記念式典に出席)
12日 ローチェン・モンテネグロ外相(ティメルマン外相と会談)
12日 アギレ・パラグアイ外務副大臣(ダロット筆頭外務副大臣と会談)
20〜21日 Ljubica Jelusicスロベニア国防相(プリチェリ国防相と会談)

 


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