政治情報
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2011年2月アルゼンチンの政治情勢(内政・外交)

2011年3月作成
在アルゼンチン大使館

 

T 概要


(1)内政面では,フェルナンデス大統領が,労組による強硬な賃上げ要求に対する牽制とみられる発言を行ったことを始め,政府と労組の関係が注目を集めた。労組関係者が,健康保険事業における補助金の不正請求等の容疑で逮捕された際,モジャーノ労働総同盟(CGT)書記長は,フェルナンデス政権による労組への攻撃を批判するコミュニケを発出した。また,マクリ・ブエノスアイレス市長が次期大統領選挙への出馬を表明したことに伴い,共和国提案は,ブエノスアイレス市長選挙を大統領選挙と同日に実施する可能性を検討し始めた。ペロン党反キルチネル派は,大統領候補選出にあたり,4月から5月にかけて独自の予備選挙を実施する旨決定した。


(2)外交面では,ティメルマン外相がフランス及びウィーンを続けて訪問し,アリオ=マリー・フランス外相,天野IAEA事務局長及びフェドトフ国連薬物犯罪事務所(UNODC)事務局長と会談した後,ジュネーブを訪問して国連人権理事会会合に出席した。また,ムヒカ・ウルグアイ大統領が訪亜してフェルナンデス大統領と会談し,ルゴ・パラグアイ大統領が訪亜して,フェルナンデス大統領と共にヤシレタ・ダム関連工事の落成式に出席した。その他,亜の空港において米軍用機の積載物が押収されたことを契機として,対米関係の緊張が高まった。

 

U 内政


1 労働問題


(1)1日,フェルナンデス大統領は,労組指導者らに対し,「対立を解消してこそ(労組の)指導者というものである。(要求が)強硬であればあるほど変化が約束されると考える人々がいるが,そうではない」等述べた。これについて,当地各紙は,同大統領が労組による強硬な賃上げ要求を牽制しようとしたものとして報じた。


(2)2日,労働総同盟(CGT)は,本年初めての幹部会合を開催した後,「我々は,賃上げ交渉において,未だ抑制されることのないインフレ率を考慮しなければならない」との見解を発表した他,所得税課税最低限の引き上げを要求する姿勢を示した。これについて,当地各紙は,CGTが,フェルナンデス大統領の上記発言に怯むことなく,強硬な要求を継続する旨決定したものとして報じた。

 

2 労組の健康保険事業における不正問題


(1)10日,ベネガス亜農牧港湾労働者連盟(UATRE)書記長(ドゥアルデ派)が,健康保険事業の運営において(注:亜では,労組が健康保険事業を運営しており,同事業が労組にとって重要な資金源となっている),政府に対し補助金を不正請求した容疑等により逮捕された。同日,ドゥアルデ元暫定大統領(ペロン党反キルチネル派)は,この逮捕はフェルナンデス政権が後押ししたものであり「政治的迫害」であると述べて批判した。


(2)11日,UATREの組合員らは,全国各地で道路封鎖による抗議活動を行い,ベネガス書記長の釈放を要求した。また,モジャーノ労働総同盟(CGT)書記長は,CGTの緊急幹部会合を開催した後,ベネガス書記長を擁護し,フェルナンデス政権による労組への攻撃を非難するコミュニケを発出した。同日,ベネガス書記長は,オジャルビデ連邦判事による事情聴取を受けた後,保釈された。

 

3 労働党員殺傷事件関連


 21日,ペドラサ鉄道連盟書記長が,客年10月にブエノスアイレス市で発生した労働党員殺傷事件に関与した容疑で,家宅捜索を受けた後,逮捕された。同日,鉄道連盟の組合員らは,一部の鉄道の運行停止等による抗議活動を行い,ペドラサ書記長の釈放を要求した。しかし,本件に関し,労働総同盟(CGT)が鉄道連盟に対する支持を表明することはなかった。24日,鉄道連盟は,再び鉄道の運行停止による抗議活動を行ったが,ペドラサ書記長は釈放されなかった。また,同日,CGTの幹部会合が開催されたが,本件については触れられなかった。

 

4 共和国提案の動向


(1)1日,マクリ・ブエノスアイレス市長は,共和国提案の定期会合において,「私は大統領候補になる」と述べ,次期大統領選挙に出馬する意向を表明した。当地各紙は,同市長が大統領選挙に出馬し,ブエノスアイレス市長選挙に出馬しない場合,共和国提案の同市長候補としては,ミチェッティ下院議員及びロドリゲス・ラレッタ同市官房長官が有力視されると報じた。


(2)マクリ市長の出馬表明を受け,上記会合では,共和国提案のブエノスアイレス市長候補を有利な状況に置くために,同市長選挙を大統領選挙と同日に実施する可能性について検討された(注:両選挙を同日に実施すれば,大統領候補と市長候補の投票用紙が連結され,共和国提案の市長候補は,高い支持率を有するマクリ市長の投票用紙の横に名を連ねることになるため,有利になるとみられている)。但し,同市の法律により,同市長選挙は大統領選挙とは別の日に実施するよう義務付けられているため,共和国提案は,同法を改正する可能性を検討し始めた。

 

5 ペロン党反キルチネル派の動向


(1)9日,ペロン党反キルチネル派の大統領候補として有力視されているドゥアルデ元暫定大統領,ロドリゲス・サア・サンルイス州知事及びダス・ネベス・チュブット州知事の3名は,ペロン党反キルチネル派の大統領候補選出にあたり,8月14日に予定されている公式な予備選挙に先立ち,ペロン党反キルチネル派が独自の予備選挙を実施する旨合意に至った。同選挙は,全国を8地方に区分して各地方で順次実施するものとされた。なお,ソラ下院議員は,同予備選挙には参加せず,大統領選挙に出馬する場合には8月の公式な予備選挙に参加するとの意向を示した。


(2)16日,上記予備選挙の日程が次の通り発表された。(ア)4月3日:ブエノスアイレス市,(イ)同月10日:北東部地方,(ウ)同月17日:北西部地方,(エ)5月8日:サンタフェ州及びコルドバ州,(オ)同月15日:パタゴニア地方,(カ)同月22日:クージョ地方,(キ)ブエノスアイレス市近郊以外のブエノスアイレス州:同月28日,(ク)同月29日:ブエノスアイレス市近郊。

 

6 上院の次期執行部役員選出


 28日,上院において,今年の同院の執行部役員を選出するための準備セッションが開催され,客年の執行部役員であった下記4名がいずれも再選された。


(1)議長代理:パンプーロ上院議員(ペロン党キルチネル派)
(2)副議長:マリーノ上院議員(急進党)
(3)第1副議長:ロメロ上院議員(ペロン党反キルチネル派)
(4)第2副議長:バスアルド上院議員(ペロン党反キルチネル派)

 

V 外交


1 コロンビア


 7日,ダロット筆頭外務副大臣はコロンビアを訪問し,ムティス同国外務副大臣と会談した。両副大臣は,今後の両国外相会談の予定,在亜コロンビア不法移民の合法化,二国間の通商等について協議した他,文化,教育,科学技術,人権,司法,宇宙,航空,農牧,港湾インフラ等に係る二国間の各種委員会の開催予定について協議した。

 

2 メキシコ


(1)8日,ダロット筆頭外務副大臣はメキシコを訪問し,エスピノサ同国外相と会談した。同会談において,両者は,中南米地域の政治的安定性や民主主義に基づく平和的共存における両国の責任等について協議した。


(2)その後,ダロット副大臣は,ベルトラン・メキシコ外務省中南米担当次官と共に,二国間の戦略連携協定の枠組みで開催された政治問題委員会の第2回会合に議長として出席した。同会合では,(ア)4月中旬にフェルナンデス大統領がメキシコを訪問し,カルデロン同国大統領と会談する予定,(イ)メルコスールの会合にメキシコが出席する必要性,(ウ)G20,ラ米・カリブ諸国共同体(CELAC)及びリオ・グループのアジェンダ,(エ)国連安保理改革の推進等について協議された。

 

3 米国


(1)10日,米空軍関係者らが,亜連邦警察に人質救助等の技術指導を実施するために訪亜した。同軍関係者らを乗せた同軍用機がエセイサ国際空港(ブエノスアイレス州エセイサ市)に到着したところ,税関及び空港警察は,同機に積載されていた一部の武器,薬剤等が未申告の物品であったとして,ティメルマン外相立ち会いの下で,それらを押収した。


(2)13日,米国務省は,「載積物は事前に然るべく明示されていた」,「(押収された)物品は全て,平常より訓練において使用されるものである」,「押収された物品の即時返還を求める」などとするコミュニケを発出した。同日,亜外務省は,「一部の積載物は,駐亜米大使館から提供されていたリストに掲載されていないものであった」,「米国は,それらの物品を持ち込んだ理由の説明等を拒否している」などとするコミュニケを発出した。


(3)14日,ティメルマン外相は,駐亜米大使館宛に抗議文書を送付し,「現在までのところ,米政府も,駐亜米大使館も,エセイサ空港に到着した荷物の中に未申告の物品があったことについて,満足のいく説明を行っていない」,「亜政府は,強い抗議の意を表明する」等通告した。


(4)15日,フェルナンデス大統領は,(本件に直接的に言及したわけではないが)「国家の主権を擁護する」等述べた。同日,フェルナンデス首相は,「米国は事実を述べていない」と述べた。また,ガレ治安相は,「我々は,事前に外務省に送付されていたリストの中に,なぜその(押収された)物品が含まれていなかったのかについて,説明を待っている」と述べた。


(5)同日,税関の代表者は,上記軍用機には,申告漏れ等関税法上の違反があったが,刑法上の犯罪行為はなかったという見解を示した。

 

4 OAS


 14日,インスルサOAS事務総長が訪亜し,ティメルマン外相と会談した。同会談において,両者は,中南米関連の諸テーマについてレビューした他,6月5〜7日にエルサルバドルで開催されるOAS外相会合の準備について協議した。

 

5 ブラジル


 14日,ジョビン・ブラジル国防相が訪亜し,プリチェリ国防相と会談した。同会談において,両国防相は,技術開発や非核のための協力,両国軍隊の共同演習等,国防分野における二国間の関係強化の重要性を再確認する共同宣言を採択した。その後,ジョビン国防相は,デビード公共事業相と会談し,二国間フライト数の増加について合意した。

 

6 フランス


(1)18日,ティメルマン外相はフランスを訪問し,アリオ=マリー同国外相と会談した。


(ア)同会談において,両外相は,G20(フランスが議長国)及びG77(亜が議長国)に係る諸テーマについて協議した。特に,世界規模のガバナンスの進化,タックス・ヘブンやハゲタカファンドへの対策,社会問題への自覚等について協議した。


(イ)また,両外相は,二国間の技術協力の重要性や,政治・文化・経済面での両国の歴史的関係を確認した。


(ウ)ティメルマン外相は,中南米の多くの国が,ハイチの要望に従って同国への支援を強化する旨述べた。


(エ)また,同外相は,6月に亜で開催予定の第34回南極条約協議国会議の一環として行われる南極条約50周年祝賀式典に,フランスを招待した。アリオ=マリー外相はこの招待に謝意を表し,ロカール・フランス元首相が出席する旨述べた。


(オ)その他,ティメルマン外相は,フォークランド(マルビナス)諸島領有権問題について,亜は対話の準備ができており,英国が国連決議を遵守し,交渉を開始することが必要である旨説明した。


(カ)最後に,両外相は,ワーキングホリデー・プログラムを創設する協定に署名した。同プログラムは,亜の若者がフランスに,また,フランスの若者が亜に,休暇または就労のために1年間滞在することを認める無料の査証を発行するというもの。同プログラムの目的は,「両国の若者が互いの国の文化及び生活様式を知り,相互理解を深めるための機会を拡大すること」とされた。


(2)また,同日,ティメルマン外相は,レヴィット・フランス大統領府主席外交補佐官と会談した。両者は,二国間の各種テーマ及びG20に係る幾つかのテーマについて協議した他,中東情勢,イスラエル共済組合(AMIA)会館爆破事件を巡るイラン政府高官の裁判,科学・原子力分野での協力,ハイチ支援活動の調整,ドーハ・ラウンドの展望,EU・メルコスール間協定交渉等のテーマについて意見交換を行った。

 

7 ウィーン


(1)21日,ティメルマン外相はウィーンを訪問し,天野IAEA事務局長と会談した。


(ア)同会談において,同外相は,亜が,原子力の平和利用を重要視している旨表明しつつ,原子力の平和利用及び核不拡散の分野でIAEAに協力する旨述べた。


(イ)天野事務局長は,亜・ブラジルによる研究炉の共同開発について祝意を表し,また,亜の高度な技術に言及した上で,亜が,他の南米諸国への影響という面で,IAEAにとって重要な貢献を成し得る旨述べた。


(ウ)ティメルマン外相は,亜の原子力計画の現状と展望について述べた上で,主に,伯亜核物質計量管理機関(ABACC)の戦略的役割等について述べた。また,同外相は,天野事務局長を,今年,ABACCの創設20周年を記念して開催されるセミナーに議長として参加するよう招待した。


(エ)その他,同外相は,原子力エネルギーの利点を広報することの重要性,及び,核不拡散の強化のためのメカニズムや核燃料バンクが各地域の主体的判断を反映することの必要性について述べた。


(2)また,同日,ティメルマン外相は,フェドトフ国連薬物犯罪事務所(UNODC)事務局長と会談した。


(ア)同外相は,フェドトフ事務局長の同職への就任(客年7月)について祝意を表した。同事務局長は,麻薬取引や国際的組織犯罪への対策等UNODCの管轄する諸分野における亜の積極的な参画に謝意を表した。


(イ)また,両者は,麻薬産出国のみならず,麻薬消費国及び麻薬関連のマネーロンダリング等により経済的恩恵を被っている国をも視野に入れるという統合的視点を持って薬物問題を取り扱うことの重要性について同意した。


(ウ)ティメルマン外相は,亜が果たしてきた各種犯罪対策について述べ,薬物問題については,薬物中毒の防止及び治療に係る対策を取ってきた旨説明した。また,同外相は,薬物問題のような多面的な問題に立ち向かうにあたり,軍隊による抑圧等に頼るのではなく,知的専門家チームの形成等によって対処していくという亜の姿勢を示した。


(エ)また,ティメルマン外相は,亜は,タックス・ヘブンは薬物取引やマネーロンダリング等の不法な活動に資すると考え,G77+中国等において,タックス・ヘブンを根絶すべく努力している旨説明し,これに対するUNODCの支援を要請した。フェドトフ事務局長は,このイニシアティブに関心を示した。


(オ)その他,両者は,亜におけるUNODCの協力について話し,ブエノスアイレス市にUNODC事務所を開設することで合意した。最後に,ティメルマン外相は,フェドトフ事務局長を,数ヶ月以内に亜を訪問するよう招待した。

 

8 リビア


(1)22日,亜外務省は,リビア情勢に関し,「亜政府は,リビアにおける深刻な状況について深い懸念を表明し,対立の中で生じた人命の損失と暴力的行為を遺憾に思う。亜は,建設的な民主主義的対話により,人権とリビア国民の意思が完全に尊重される形で,早期の平和的解決に至るよう願う」とするコミュニケを発出した。


(2)23日,亜外務省は,再びリビア情勢に係るコミュニケを発出し,「亜政府は,リビアにおける深刻な人権侵害について深い懸念を抱き,ピレー国連人権高等弁務官の国際コミュニティへの呼び掛けに対し,25日にジュネーブで開催される国連人権理事会特別会合の召集を支援してきた」との立場を表明した。

 

9 金融活動作業部会(FATF)


 23日,アラク司法相はパリを訪問し,金融活動作業部会(FATF)総会に出席した。同総会において,同相は,昨年12月に発出された政令により,金融情報機構(UIF)を,亜におけるマネーロンダリング対策のコーディネーターと位置づけ,同機構に,FATF等マネーロンダリング関連の国際機関における亜代表の地位を与えた旨説明した。また,同相は,昨年,UIFが,必要な報告義務等を怠った亜国内の銀行に制裁を課したこと,亜からFATFへの報告書の提出件数が大幅に増加したこと等を挙げ,亜がマネーロンダリング対策を強化している旨述べた。その他,同相は,「テロのネットワークの資金調達を妨げることが,1992年の在亜イスラエル大使館爆破事件や1994年のイスラエル共済会館(AMIA)爆破事件において亜を攻撃した敵と戦うための最良の方法の一つである」,「亜は,国連及びG20の枠組みにおいて,これらの犯罪と戦うためにグローバルな行動を取ることについて,必要な提案を行った」等述べた。

 

10 ウルグアイ


(1)25日,ムヒカ・ウルグアイ大統領が訪亜し,フェルナンデス大統領と会談した。同会談において,ムヒカ大統領は,亜の輸入制限(注:16日,亜政府が,非自動輸入許可対象品目を200品目追加する旨決定したことを指す)に関し,ウルグアイ製品に対する輸入制限を撤廃するようフェルナンデス大統領に要求した。これに対し,フェルナンデス大統領は,「メルコスールは非自動輸入許可の対象ではない。ウルグアイはメルコスール加盟国であり,不正競争に関与していないので,問題はない」と述べた由(注:大統領府プレスリリースは,同会談で輸入制限の問題が扱われたことについて言及していないため,上記は当地報道による)。


(2)また,両国首脳は,両国の共同出資により,ラプラタ川の河上に液化天然ガスの再ガス化プラントを建設するという協定に署名した。同プラントは,2013年より始動し,15年間に亘り両国に天然ガスを供給する予定。


(3)同日,フェルナンデス大統領,ムヒカ大統領及びルゴ・パラグアイ大統領は,ブエノスアイレス市において,「ネストル・キルチネル偉大な祖国の会館」の開設を祝す式典に出席した。キルチネル前大統領の名を冠した同会館は,「文化,政治,経済及び社会の分野における中南米諸国民の統合の促進」等を目的として大統領府の傘下に設置された機関であり,中南米の統合に係る国内外の公的・私的諸活動に対し資金援助等を行うもの。同式典において,フェルナンデス大統領は,「かつて南米がこれほどの結束力を持っていた時期はなかった」等述べた。

 

11 パラグアイ


(1)25日,ルゴ・パラグアイ大統領が訪亜し,ミシオネス州ポサダス市において,フェルナンデス大統領と共に,ヤシレタ・ダム関連工事の落成式に出席した。同工事は,同ダムの水位をこれまでの73メートルから83メートルに上昇するものであり,この水位上昇により,同ダムの発電量は年間約2万GWhとなった(亜の水力発電の約60%に相当)。同落成式において,フェルナンデス大統領は,「工業を持たない国はエネルギーを必要としない。(ヤシレタ・ダムの)最高水位(83メートル)への到達は,わが国の工業のポテンシャルの証である」等述べた。


(2)同日,フェルナンデス大統領,ルゴ大統領及びムヒカ・ウルグアイ大統領は,「ネストル・キルチネル偉大な祖国の会館」の開設を祝す式典に出席した(10(3)参照)。

 

12 国連人権理事会


(1)28日,ティメルマン外相は,ジュネーブを訪問し,第16回国連人権理事会会合に出席した。同会合における同相の発言の要点は以下の通り。


(ア)亜は,(1983年の)民主化以降,人権問題の重要性を深く自覚し,この問題に毅然として取り組んできた。


(イ)客年,同性婚法案が成立し,婚姻において性的嗜好による差別を受けることがなくなったことは,亜における平等問題の進展を象徴している。また,(2009年に成立した)放送法改正法は,マスメディアとは単に商業目的で運営されるものではなく,情報を得るという国民の権利を行使するためのツールであるという確信に基づくイニシアティブであった。


(ウ)昨今,自由を求める民衆のデモが暴力的に抑圧されるというニュースが,恒常的に我々の耳に入っている。各国の政府が自国民の意思を尊重することが重要であり,人権侵害の責任がある統治者たちは,法に則り,厳しく裁かれるべきである。独裁を防止するために,独裁者による銀行口座開設や,人権侵害を行う政府に対する武器の売却を妨げるなど,我々にできることは沢山ある。


(エ)国連人権理事会の理事国である我々は,我々の決定が,世界の全ての人権の擁護及び促進を可能にするための具体的な行動に繋がるよう尽力するという責任を持っている。


(2)また,同日,ティメルマン外相は,今次会合の出席者らと下記の通り個別会談を行った。


(ア)ダイス国連総会議長:ダイス議長との会談において,ティメルマン外相は,フォークランド(マルビナス)諸島領有権問題に言及し,「英国は国連常任理事国でありながら,(同諸島の)領有権問題の平和的且つ決定的解決のための交渉再開を求める国連決議に背いている」,「英国は,(同諸島域内での)天然資源の採掘,ミサイル発射による軍事訓練等の一方的な不法行為の実施を主張し,国連決議及び国際海事機関(IMO)規約に違反している」等述べた上で,「二国間の交渉プロセスを再開し,時代錯誤な植民地主義的状況に終止符を打つという亜の恒常的且つ誠実な意向」を伝えた。


(イ)ピレー国連人権高等弁務官:ピレー高等弁務官は,亜が世界レベルで人権の擁護及び促進を牽引してきたことに触れ,今次会合への亜の参加は重要である旨述べた。ティメルマン外相は,「亜は,人権の擁護及び促進を外交政策の基軸の一つとしてきた」と述べた他,テロ,麻薬取引,武器取引,マネーロンダリング等の取り締まり強化に係る亜の見解を示した。


(ウ)ソマビア国際労働機関(ILO)事務局長:ソマビア事務局長は,G20等の国際場裡において,亜が労働問題に関し積極的な役割を果たしていくことの必要性について述べた。また,同事務局長は,ティメルマン外相の招待に応じ,6月に訪亜することについて関心を示した。その他,両者は,G20の枠組みにおいてILOと亜が推進している労働問題に係るセミナーの重要性について確認した。


(エ)ロザリオ・ブラジル大統領府人権特別長官:ティメルマン外相とロザリオ長官は,人権問題について亜・ブラジル両国が行っている共通の努力について確認した他,客年12月のメルコスール首脳会合において,各国首脳が,人権の尊重及び促進は(南米地域)統合プロセスの基軸である旨表明したことに言及し,人権問題に対する南米諸国の共通の立場に向けて前進することの必要性を確認した。


(オ)グテーレス国連難民高等弁務官:ティメルマン外相は,グテーレス高等弁務官に対し,亜と国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)との間の密接な協力関係について述べた。グテーレス高等弁務官は,亜の国家難民委員会(CONARE)の役割を評価している旨述べた他,国際場裡における人権の擁護や独裁の克服における中南米の役割の重要性について述べた。また,両者は,ホワイト・ヘルメット委員会(注:国連の下で活動する当国緊急援助隊)とUNHCRの協力関係の強化について協議した。

 

13 要人往来


(1)往訪

 

7日 ダロット筆頭外務副大臣のコロンビア訪問(ムティス同国外務副大臣と会談)
8〜9日 ダロット筆頭外務副大臣のメキシコ訪問(エスピノサ同国外相等と会談)
11日 ブドゥー経済相のブラジル訪問(マンテガ同国財務相と会談)
17日 ブドゥー経済相のフランス訪問(G20財務大臣・中央銀行総裁会議に出席)
17〜18日 ティメルマン外相のフランス訪問(アリオ=マリー同国外相等と会談)
21〜22日 ティメルマン外相のウィーン訪問(天野IAEA事務局長及びフェドトフ国連薬物犯罪事務所(UNODC)事務局長と会談)
23日 アラク司法相のフランス訪問(金融活動作業部会(FATF)総会に出席)
28日 ティメルマン外相のジュネーブ訪問(第16回国連人権理事会会合に出席)


(2)来訪

 

14日 ジョビン・ブラジル国防相の訪亜(プリチェリ国防相と会談)
14日 インスルサOAS事務総長の訪亜(ティメルマン外相と会談)
17〜18日 ピメンテル・ブラジル開発商工相(ジョルジ産業相と会談)
25日 ムヒカ・ウルグアイ大統領の訪亜(フェルナンデス大統領と会談)
25日 ルゴ・パラグアイ大統領の訪亜(ヤシレタ・ダム関連工事の落成式に出席)
26日〜3月2日 カアマニョ・スペイン法相の訪亜(アラク司法相等と会談)

 

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