山内弘志大使 2024年新年挨拶

令和6年1月1日
 謹んで新年のお慶びを申し上げます。
 
 本年は、国家再建に取り組むアルゼンチンの新政権と共に歩む重要な1年になります。先日の大統領就任式には、日本から山東昭子前参議院議長(参議院議員)が特派大使として出席し、ミレイ大統領他新政権の幹部と会談を行いました。この会談においてもしっかりと確認できましたが、日本とアルゼンチンは、基本的価値や原則を共有する戦略的パートナーとして、引き続き緊密に連携して参ります。
 
 2023年に迎えた日本・アルゼンチン外交関係樹立125周年は、両国の外務大臣の相互訪問実現、ビジネス環境整備委員会の開催や経団連の訪問など、官民のハイレベルでの交流が進められ、また、海上自衛隊練習艦隊のブエノスアイレス寄港とアルゼンチン海軍との共同訓練実現は、安全保障分野での二国間協力の重要性を示しました。また、125周年は、日系社会の存在感の大きさを改めて実感する機会にもなりました。2月に31年ぶりにアルゼンチンで開催された日系国際スポーツ親善大会(CONFRA)は、当国の日系社会が一丸となって作り上げた一大イベントでしたし、ブエノスアイレスのみならず国内各地で日系社会主導の様々な記念イベントが行われたことも印象深いものでした。
 
 新年を迎え、125周年に盛り上がった二国間交流の機運をさらに発展させ、より一層の外交成果を上げられるよう、大使館として以下のことに取り組んで参ります。
 戦略的パートナーとしての二国間関係をさらに強化すべくハイレベルの対話をさらに活発化させます。私自身もアルゼンチンに駐在している強みを活かし地方との連携も含めて力を注ぐ所存です。
 共に自由貿易、市場経済を信奉し、また、補完的である両国間の経済関係をさらに強化すべく、新政権との関係を早期に構築し、働きかけ、対話を進めていきます。また、これまでも国際協力を通して実施してきた中小企業支援や地方支援を継続して行い、アルゼンチンの発展に貢献します。
 昨年は、藝大フィルハーモニア管弦楽団のコロン劇場での公演やU-20ワールドカップの当地開催など文化・スポーツ面での交流はこれまでになく活発でしたが、今年は、これらをきっかけに日本を知ることになった人々がさらに日本を身近に感じられるような交流を進めます。
 また、刻一刻と変化する国際情勢、経済情勢は、社会状況にも影響を及ぼします。在留邦人が安全に滞在できるよう、引き続き幅広い情報収集と迅速な情報提供を行います。
 同様に、領事サービスの拡充にも取り組んで参ります。遠方の州のみならず、首都圏の日系コミュニティへの出張サービスの実施などよりオープンで身近な領事窓口を目指します。
 これらの任務を全うした先に、日本とアルゼンチンの関係が新たな局面に達することを期待しています。
 
 当地のみならず、広く中南米には、多くの親日家、知日家に支えられた重層的な対日信頼の土台があります。皆様が日々築きあげてきたその土台を大事にしながら、2026年の日本人アルゼンチン移住140周年、そして2028年の日亜外交関係樹立130周年に向けて、両国の一層の緊密な協力関係を実現できるよう取り組んでまいります。
 
 最後に、皆様とご家族のご健康とご多幸をお祈り申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。
 
令和6年(2024年)1月
アルゼンチン駐箚日本国特命全権大使 山内 弘志