地方別概況

令和8年8月7日
アルゼンチンは、北東部(NEA)、北西部(NOA)、クージョ、パンパ、パタゴニアの5地域に大別される。各地域は、気候や地形、歴史的背景を反映した固有の自然環境と文化を育んできた。
 

北東部(Noreste Argentino:NEA)  豊富な河川と温暖な亜熱帯性気候に恵まれた地域で、森林や湿地が広がる。イグアスの滝をはじめとする豊かな自然環境を有し、高い生物多様性で知られる。
 
イグアスの滝 (Cataratas de Iguazú)[ミシオネス州]:  イグアス川が形成した世界有数の瀑布群であり、大小275の滝からなる。アルゼンチン、ブラジル、パラグアイの三国が接する地域に位置し、周辺には亜熱帯林が広がる。卓越した自然景観と豊かな生物多様性を有することから、アルゼンチン側のイグアス国立公園は1984年にユネスコ世界遺産に登録された。
 
イエズス会の遺跡 (Las Ruinas Jesuíticas)[ミシオネス州]:  17世紀、先住民グアラニー族への布教を目的としてイエズス会が築いた共同体集落の遺跡群。教会や住居、広場などを備えた集落は、この地域における宗教・教育活動の拠点として発展したが、1767年のイエズス会追放令により衰退した。現在も往時の面影を伝える遺構が残されており、その歴史的・文化的価値からユネスコ世界遺産に登録されている。


北西部(Noroeste Argentino:NOA)  アンデス山脈の東麓に広がる地域で、乾燥した気候と高地性の山岳地形を特徴とする。先住民文化と植民地時代の伝統が色濃く残り、歴史的な街並みやアンデス音楽、郷土料理などに独自の文化的特色がみられる。
 
フフイ州(Provincia de Jujuy):  アルゼンチン最北端に位置し、ボリビアおよびチリと国境を接する。アンデス高地の自然と先住民文化の影響を色濃く残し、毛織物や民芸品の産地として知られる。州内には、多彩な地層が織りなす「七色の丘」で知られるプルママルカや、2003年にユネスコ世界文化遺産に登録されたウマウアカ渓谷があり、高地には広大な塩原サリーナス・グランデスが広がる。
 
サルタ州(Provincia de Salta):   植民地時代の面影を残す歴史的街並みとアンデス高地の雄大な自然に恵まれている。州都サルタを起点とする「雲の列車」は、高地を縫うように走る山岳鉄道として知られる。州南部のカファヤテ周辺には、浸食によって形成された色彩豊かな渓谷景観が広がり、アルゼンチン有数のワイン産地としても名高い。


クージョ地方(Cuyo)  アンデス山脈の東麓に広がる地域で、乾燥した気候のもと、雪解け水を利用した灌漑農業が発達している。アルゼンチン最大のワイン生産地として知られるほか、山岳地帯では各種アウトドア活動やウィンタースポーツが行われている。
 
ワイナリー (Bodegas)[メンドーサ州]:   アルゼンチン最大のワイン生産地であり、州内には大小さまざまなワイナリーが点在する。ワイン造りは16世紀にイエズス会宣教師によってもたらされ、19世紀には欧州移民の流入とともに発展した。アンデスの雪解け水による灌漑、排水性に優れた土壌、乾燥した気候と豊富な日照に恵まれ、ブドウ栽培に適した環境を備えている。
 
アコンカグア (Aconcagua)[メンドーサ州]:   標高6,961mを誇るアンデス山脈の主峰であり、七大陸最高峰の一つに数えられる。周辺には雄大な山岳景観が広がり、州内には鉱泉成分の沈着によって形成された自然橋「インカの橋(Puente del Inca)」もみられる。
 
イスチグアラスト州立公園(Parque Provincial Ischigualasto)、通称 「月の谷(Valle de la Luna)」 [サンフアン州]:   風雨の浸食によって形成された奇岩群と色彩豊かな岩丘で知られる。三畳紀の地層が良好に保存されており、初期の恐竜を含む重要な化石産地でもある。隣接するタランパヤ国立公園とともに、2000年にユネスコ世界遺産に登録された。


パンパ地方(Pampa)  ラプラタ川下流域に広がるデルタ地帯と、肥沃な大平原パンパを中心とする地域。アルゼンチンの政治・経済の中心である首都ブエノスアイレスを擁し、穀物栽培や牧畜が発達している。
 
ブエノスアイレス市  :  アルゼンチンの首都であり、政治・経済・文化の中心地である。植民地時代の歴史地区から19世紀以降の欧風建築群、近代的なビジネス街に至るまで、多様な都市景観を有する。大統領府、国会議事堂、レコレータ墓地、ボカ地区などの歴史的・文化的名所が点在し、コロン劇場に代表される芸術文化の拠点としても知られる。
 
ティグレ (Tigre)[ブエノスアイレス州]:  ブエノスアイレス市北部のパラナ川デルタに位置する町である。大小の水路が網の目のように広がる水郷地帯の中心地であり、デルタ地域の生活や文化を特徴づける景観を形成している。


パタゴニア地方(Patagonia)  アルゼンチン南部に広がる広大な地域で、国土の約3分の1を占める。アンデス山脈の森林や湖沼、氷河から、大西洋に面した海岸部や乾燥したステップ地帯に至るまで、多様な自然景観を有し、豊かな生態系に恵まれている。
 
バリローチェ(San Carlos de Bariloche)[リオネグロ州]:  アンデス山麓のナウエル・ウアピ湖畔に位置し、スイス系やドイツ系などの欧州移民の影響を受けた街並みで知られる。チョコレートや毛織物などの地域産業が発達している。
 
バルデス半島(Península Valdés)[チュブット州]:  大西洋に突き出た半島で、多様な海洋生物や海鳥の繁殖地として知られる。ミナミセミクジラやマゼランペンギンをはじめ、グアナコやマーラなどが生息し、豊かな生態系を有することからユネスコ世界遺産に登録されている。
 
カラファテ(El Calafate)[サンタクルス州]:  アルヘンティーノ湖畔に位置する町で、ロス・グラシアレス国立公園への玄関口として知られる。周辺にはペリート・モレノ氷河やウプサラ氷河など、パタゴニアを代表する氷河景観が広がる。

ウスアイア(Ushuaia)[ティエラ・デル・フエゴ州]:   ビーグル水道に面する世界最南級の都市。名称は先住民ヤマナ族の言葉に由来し、「西に入り込む湾」を意味するとされる。ティエラ・デル・フエゴ国立公園の玄関口としても知られる。
州区分