子どもの親権をめぐる問題について
近年、国際結婚のカップルが増えてきています。そうした流れは、日本とアルゼンチンとの間でも同様で、当館領事窓口にも国際結婚の届出、日亜間のカップルの間に誕生した子どもの出生届のため来訪される方がいらっしゃいます。
しかしながら、その一方で、結婚生活が困難となり、離婚に直面する事態となったとき、子どもをどうするのか、特に将来にわたって子どもの養育と監護をどちらが行うのか、といった問題は常に発生してきます。特に、結婚生活で困難に直面したそれぞれ国籍の異なる父または母のいずれかが、アルゼンチンの法律を顧みることなく、もう一方の親の同意なしに子どもを連れ去ろうとすれば、以下のような問題が発生します。
今回は、アルゼンチンに居住される日本の親御さんにとって、子どもとの関係、子どもを連れての旅行・移動については、是非とも留意していただきたい点を述べたいと思います。
1.実子誘拐罪の適用
アルゼンチンの国内法では、父母のいずれもが親権または監護権を有する場合に、または、離婚後も子どもの親権を共同で保有する場合、一方の親が他方の親の同意を得ずに子どもを連れ去る行為は、重大な犯罪(実子誘拐罪)とされています。例えば、アルゼンチンに住んでいる日本人の親が、他方の親の同意を得ないで子供を日本に一方的に連れて帰る際、たとえ実の親であってもアルゼンチンの刑法に違反することとなり、犯罪被疑者として逮捕される場合があります。アルゼンチン刑法第146条は、10歳未満の子を許可なく連れ去る場合、5~15年の禁錮刑に処される、と規定しています。国際結婚した後に、生まれた子どもを日本に連れて帰る際には、こうした事にも注意する必要があります。
2.未成年者の旅行
長期滞在者及び永住者の未成年子女(18歳未満)が、単独、片親又は成人第三者と旅行する場合は、公証人(ESCRIBANO PUBLICO)役場で作成された両親又は法定代理人による旅行承諾書を入管係官(空港等)に提示しなければなりません。
(内務省出入国管理局規則第031100/05号)
1. 片親が同伴する場合 両親共同による旅行承諾書の提示。 2. 単独で旅行する場合 両親又は法定代理人による旅行承諾書の提示。 3. 成人第三者に同行される場合 両親または法定代理人による 旅行承諾書の提示。
1. 片親が同伴する場合
両親共同による旅行承諾書の提示。
2. 単独で旅行する場合
両親又は法定代理人による旅行承諾書の提示。 3. 成人第三者に同行される場合
両親または法定代理人による 旅行承諾書の提示。
3.未成年の子どもの旅券申請
未成年の子どもに係る日本国旅券の発給申請については、親権者である両親のいずれか一方の申請書裏面の「法定代理人署名」欄への署名により手続を行っています。
ただし、旅券申請に際し、もう一方の親から子どもの旅券申請に同意しない旨の意思表示があらかじめ在外公館に対してなされているときは、在外公館は当該申請が両親の合意による旅券申請であることを確認しております。この場合、在外公館では、通常、子どもの旅券申請について不同意の意思表示を行った側の親が作成(自署)した「旅券申請同意書」(書式自由)の提出をお願いしています。 4.家庭問題に関する相談はお早めに関係機関へ
日本人の親の中には、外国人の相手の方とのコミュニケーション・ギャップや価値観の違いによるストレス、虐待など深刻な事態に直面した場合の戸惑い、外国における孤独感などから、ついつい日本に子供を連れて帰ってしまおうと思われる方もいらっしゃるかと思います。しかしながら、そのような行動には上記の如く多くのリスクが伴います。
当地には、家庭の問題、虐待に対する人権の面からの対応を行っている団体があります。 また、あなたのお子さんは、相手の方のお子さんでもあります。問題の兆候が見え始めたら、速やかに当館(http://www.ar.emb-japan.go.jp)や専門相談機関(MEDIACION EN FAMILIA)にご相談されることをお勧めいたします。
当国で生活されますと、個人生活も含め幾多の困難に直面されることも多々あるかと思います。しかし、思いがけず法律に違反し犯罪者となってしまいますと、その後の子供との関係にも様々な支障が出てきます。円満な家庭と親子関係のために、上記の点を真剣に考慮していただきますようお願い致します。
Bouchard 547, Piso 17 C1106ABG - Ciudad de Buenos Aires - República Argentina Tel: (54-11) 4318-8200 / Fax: (54-11) 4318-8210
| 法的事項 | アクセシビリティについて | プライバシーポリシー |