ミシオネス州における黄熱病の発生について
 

1.ミシオネス州における黄熱病の発生

 2008年3月3日ミシオネス州において黄熱病の患者が発生した旨、同州保健局より発表されました。アルゼンチンでの発生は42年ぶりになります。
 今年1月には隣国ブラジルで黄熱病が発生し、死亡者まで出ていました。
この発表の後、ミシオネス州の東側、ブラジル国境の地域でアルゼンチン側への感染拡大が懸念されていたところ、同じ1月にサンペドロ郡のピニャリト州立公園において14頭の野生猿の死骸が見つかりました。検査によってこれらの猿が黄熱病に感染していたことが分かり、サンペドロ郡周辺では、次はヒトへも感染が起こるのではないかと緊張が高まりました。
 一方、2月になってパラグアイでも34年ぶりに黄熱病が発生し、こちらでも死亡者が出ました。これに対して発生地域を重点に住民への予防接種が行われましたが、国内全体で予防接種への要求が高まった結果、一時はパラグアイ国内の備蓄ワクチンが枯渇し、不満を持った住民が国道を封鎖して抗議するなどの騒ぎにまで発展しています。近隣国や世界保健機関(WHO)からの緊急援助によりワクチンはかなり充足されたものの、いまだに不足は続いています。
2月の中旬以降は、フォルモサ、ミシオネス、コリエンテスの各州において、パラグアイからワクチン接種を求めての短期入国者が増え、国境近辺のアルゼンチンの公立病院では接種希望者の長い行列ができる状況が続いています。
ミシオネス州では、隣接する2国でのこのような状況を受けて、2月に入り、アルゼンチン保健省と共同で黄熱病撲滅キャンペーンを行いました。州民への予防接種が集中的に行われ、また蚊の駆除を目的として、各家庭では水溜まりの徹底清掃などが行われました。
しかし、これらの予防対策にもかかわらず、ミシオネス州でヒトへの感染が発生しました。
 患者は同州サンビセンテ市在住の24才男性で、オベラ市の病院に入院中であり、現在は回復に向かっています。この男性は、本年1月に黄熱病による野生猿の死骸が見つかったサンペドロ郡のピニャリト地区の密林地帯で働いており、そこにおいて感染したと考えられています。また、同じ地区で働いていたこの男性の2人の兄弟、エルドラド郡で高熱を発している男性など、感染が強く疑われる患者が病院の監視下におかれ、確定診断の検査結果を待っています。
ミシオネス州保健局では、1名の黄熱病患者とその他の疑わしい患者が発生したとはいえ、これが地域での流行につながるとは考えていません。
感染が起こったのが山岳部や密林地帯(森林型黄熱病)であったため、町中での流行(都市型黄熱病)とは異なり、また予防接種キャンペーンの結果、現在では85%の住民がワクチン接種を受けている、というのがその根拠です。
 ただし、検査結果待ちの発熱患者がいることから、今後感染者が更に増えることも考えられます。
アルゼンチンはWHOの定める「黄熱病リスク国」ではないため、入国に際して「黄熱病予防接種証明書(イエローカード)」の提示を義務づけたり、予防接種を推奨したりはしていませんが、「イグアスの滝」観光を含めてミシオネス州へ入る場合には、念のため黄熱病予防接種をお勧めします。
 また、同州への渡航を計画する際には、最新の情報を入手することをお勧めします。


2.黄熱病予防接種について

 黄熱ワクチンは、日本国内においては検疫所等で接種することができます。料金や受付時間など詳細は最寄りの検疫所にお尋ねください。
 (各検疫所連絡先は、http://www.forth.go.jp/tourist/vaccine.htmlに掲載されています。)
 ブエノスアイレス市内では、現在、以下の施設にて予防接種を受けることができます。


CESAC 9.
Irala 1254
(4302-9983),
los martes, miercoles y viernes de 14 a 17

 

CESAC 21.
Gendarmeria Nacional 522 y el centro nuevo de las calles 6 y 5, manzana 11
(4313-6985 y 4315-4414).
De lunes a viernes de 12 a 15

 

Hospital de Enfermedades Infecciosas ‘FJ Muniz’,
Uspallata 2272, (1282) Buenos Aires, Argentina
Tel.: 54-11-4305-0847.
Lunes a viernes de 13 a 16.

 

Hospital Durand,
Diaz Velez 5044, 1405 Buenos Aires, Argentina.
Tel.: 54-11-4982-2126,2127; fax: 54-11-4958 4377

En el Pabellon Romano, lunes a viernes de 14 a 16.

 

Hospital Santojanni,
Pilar 940, 2do. Piso, Buenos Aires 1408
Telephone: 54-11-4630-5501
Lunes, miercoles y viernes de 14 a 17.

 

Hospital Pedro de Elizalde
Avda.Montes de Oca 40 - Capital Federal. (C1270AAN) - Argentina.
Telefono : (54-11) 4307-5898 / 5553 / 5842 / 7491 / 4788
Fax. (54-11) 4307-7400
Lunes a viernes de 14 a 16. Sabados de 10 a 12.

 

Hospital de Ninos Ricardo Gutierrez
Sanchez de Bustamante 1390, Buenos Aires, Argentina
Telefono 54 11 4962-2011
Pabellon de Vacunas.
Lunes a viernes de 8 a 13:30 y de 14 a 16. Sabados de 8 a 13.

 

 黄熱ワクチンは1回接種で、接種後10日目から有効となるため、少なくとも出発の10日以上前に接種することが必要です。1度受ければ10年間有効です。
 また、生ワクチンなので接種後1か月は他のワクチンを接種することはできません。
 なお、黄熱病リスク国及び予防接種を要求している国の詳細については厚生労働省検疫所ホームページhttp://www.forth.go.jp/tourist/useful/01_yobou.htmlに掲載されていますので御覧ください。

3.黄熱病について

 黄熱病は蚊によって媒介されるウィルス性の感染症で、渡航に際して予防接種の国際証明書が要求される唯一の感染症です(渡航先国によっては要求されない場合もあります)。感染経路には都市型と森林型とがあり、都市型はウィルスを持った蚊(ネッタイシマカ)を媒介して感染します。森林型はヒト以外の脊椎動物(主にサル)と蚊の間に感染しますが、まれに森林の中で活動していたヒトに感染することもあります。
 潜伏期間は3〜6日で、軽症から重症まで様々な症状(発熱、頭痛、嘔吐、黄疸等)を起こします。これといった治療方法はなく、対症療法が主となります。予防方法は、予防接種を受けること、予防接種を受けていない場合は蚊に刺されないようにすることです。ただし、森林や森林に隣接した都市部では防虫スプレーだけでは十分な効果は期待できません。