経済関係
 

 (イ)貿易

 アルゼンチンの経済情勢の悪化に伴い、日亜貿易は輸出入とも大幅に減少してきている。対日輸出は、98年に691百万ドルだったものが2001年には400百万ドル、2002年には445百万ドル、2003年には435百万ドルと落ち込んでいる。対日輸入は、98年に982百万ドルだったものが2001年には503百万ドル、2002年には188百万ドル、2003年には266百万ドルと大きく落ち込んでいる。


 2003年にアルゼンチンの輸出は、対前年比14.2%の伸びを示しており、EU向けが13.7%増、NAFTA(北米自由貿易協定)向けも9.0%増であったのに対し、日本向けは対前年比7.5%減となっている。また、アジア向けの輸出も好調で、38.3%増となっている。中でも中国向けの輸出は大豆関係を中心に大きく伸び、対前年113.8%増となっている。韓国も33.0%増の439百万ドルで日本を上回っている。このように先進国の中でも、アジア諸国の中でも日本だけが蚊帳の外に置かれている。


 なお、2003年のアルゼンチンから日本への主たる輸入品は、えび、メルルーサネグラ、いか等の水産物(構成比20.0%)、安価な電力料金によって精錬されたアルミ・同合金(同19.7%)、非鉄金属鉱(主に銅鉱石)(同12.1%)、とうもろこし(主に飼料用)(同9.1%)、原油及び粗油(同4.0%)、アルコール飲料(主にワイン)(同2.8%)、家具(同2.4%)等となっている。また、2003年の日本からアルゼンチンへの主たる輸出品は、自動車部品(構成比18.5%)、原動機(同15.2%)、乗用車(9.3%)、プラスティック(同6.3%)、有機化合物(同4.3%)、荷役機械(同3.4%)、タイヤ・チューブ(同2.8%)、鉄鋼(同2.4%)、科学光学器械(同1.8%)、金属加工機械(同1.5%)、電気計測機器(同1.4%)等となっている。


 アルゼンチンの対日輸出の課題の一つとして農産品の輸出拡大が指摘されているが、牛肉については口蹄疫、小麦については品質に問題があり、大豆については遺伝子組換え及び品質の問題があり、輸出は少ない。レモン等の柑橘類についてはチチュウカイミバエの問題から日本への輸出はなかったが、2003年4月に低温処理技術により輸出が認められたことから、2003年は試験的な輸出が行われており、2004年以降対日輸出の増加が期待される。

 

 

 (ロ)投資及び技術提携
 日本からの直接投資は、1980年代まではウスアイアのフリーゾーンを利用した水産関連投資・家電製造がある程度であった。1990年代前半に通信、エネルギー、電力、ガス、航空等広範にわたる分野で民営化が実施されたが、米国、スペイン、フランス等の欧州及びチリ等の外国企業が積極的に投資するなか、そうした部門への日本企業の投資はほとんど行われなかった。しかし、1994年にトヨタが自動車工場建設着手以降、2000年から2001年にかけて自動車関係を中心に投資が行われている。経済危機発生後の2002年には欧米企業による投資引き上げの動きも見られるなか、トヨタによる2億ドルの投資発表が行われた。同社は、南米米向けの新型ハイラックスの生産拠点として、年間2万5000台体制の生産体制を2004年後半に4万台、その後6万台へと拡大するとしている。


 日本鋼管と民族系財閥テチント社とは、シームレス鋼管の製造に関し技術提携を行っている。また、NECは、サンルイス州で電子政府プロジェクトを展開している。